第150話 謀臣賈?暗躍す
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ど望んでいない」
段?による説得に賈?は一瞬沈黙した後、口を開いた。
「月は私と一緒に天下を目指すと言ってくれました」
「それはお前が言わせたのだろう。あの方は天下など望んでいない。月様はただ民が健やかに暮らせる世に成ればと思っているだけだ。清河王は華北の地を豊かにしていると聞く。その方と共により良い天下を築けるように協力すればいいだろう。そうすれば月様は清河王に相応の礼遇を受けることができるはずだ。何故、天下にこだわるのだ」
段?は賈?を説得した。だが、賈?の耳には段?の言葉は耳に届いていないようだった。
「私は月が治める天下が見たいんです。そのためなら私は幾らでも手を汚すつもりです。私は霞に用がありますから出て行きます」
賈?は段?との会話を一方的に打ち切り出て行った。段?は賈?を呼び止めようとするも賈?が振り向くことはなかった。
「詠、どうして分からぬのだ」
段?は賈?の去った方向を見つめながら憂いた表情を浮かべていた。
「周太守を見逃して正解であった。詠、お前に悪いが周太守はもう洛陽にいない。私は月様を死なせる訳にはいかない。清河王は三千の兵で上洛されると聞いている。彼は武力で私達を排除しようとは思っていない。和解の可能性は十分にある。その可能性を見す見す捨てる訳にはいない。幸い陳留王は月様に友好的であられる。今なら清河王との間をお口添えをしていただくことも可能なはず」
誰もいない部屋で段?は独白した。
賈?は張遼に命じて五十名の涼州兵を引き連れ王允の屋敷にやってきた。賈?は涼州兵に屋敷の周囲を囲ませると屋敷の門前で門を空けるように屋敷に向けて叫んだ。しばらくして屋敷の門がゆっくり開かれていく。
「これは何の騒ぎだ!」
猛り狂った剣幕で王允が足を踏み鳴らして屋敷の門をくぐってきた。彼女の後には兵達に怯えた家宰と思しき女が付き添っていた。
「王司徒、お騒がせして申し訳ございません」
賈?と張遼は馬から降りると拱手をして王允に挨拶した。王允は二人の態度にこめかみに青筋を立て屋敷の周囲を取り囲む兵達に視線を送ると右手をあげ兵達を指さした。
「この物々しい兵達は何だと言っているのだ!」
「王司徒の屋敷に周渤海太守がご訪問されているとお聞きしました。つきましては董少府が周渤海太守とお会いしたとお出迎えにまかりこした次第でございます」
賈?は王允の怒りなど気にせずに淡々と答えた。これが王允の感情を逆撫でしてしまった。
「『お出迎えだと?』 笑わせるでない! 武装した野蛮な兵達を引き連れて何がお出迎えだ」
王允は涼州兵を侮蔑するような一瞥した。涼州兵の何人かが王允の態度に頭にきて大声を張り上げるが張遼が睨みつけ黙らせた。王允
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