第150話 謀臣賈?暗躍す
[5/9]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
ているようだぞ」
段?は賈?に唐突に言った。彼女の言葉に詠は驚いた表情に変わるが直ぐに険しい表情に変わった。
「誰ですか?」
「私は直接面識がなかったが、禁軍の校尉の中に顔を知っている者がいた。その者の言葉を信じるなら周渤海郡太守だろう」
段?は確証はないと前置きをした上で賈?に話した。賈?の表情は疲労感が消し飛んだのかと思わせるように目を見開き立ち上がった。
先ほど幽鬼の如く目の周りに隈を作っていた同一人物とは思えない変わりようだ。
「どうして、周公瑾が洛陽に来ているんです?」
「そこまでは分からん。だが周太守は王司徒の屋敷に真っ直ぐに向かったようだ。洛陽へは王司徒を訪ねにきたのだろう」
「劉正礼は荊州にいたんじゃ。でも、周公瑾を洛陽に差し向けるということは劉正礼が荊州を立って上洛しているということじゃ」
賈?は右手の親指の爪を噛みしばらく考えこんだ。その様子を段?は沈黙したまま、賈?が話しはじめるのを待っていた。
「もし、今劉正礼に上洛されるとまずいです。王子師が勢いづいて私達の排除に動くかもしれないです」
「そうなるのであろうか? 清河王は三千足らずの兵を率いて荊州入りをなされたと聞く。そのような御方が我らを武力で排除するつもりはないと思うがな。詠、お前は清河王を警戒しすぎだ」
「三千の兵に騙されてはいけないです。荊州入りは私達を欺くためかもしれないです。荊州は劉正礼の従兄妹・袁公路が治める南陽郡があります。あの地で兵を集めて上洛を可能性があります」
「深読みし過ぎだろう。清河王は兵を集めなくとも精強な軍を冀州に抱えている。わざわざ練度の低い兵を荊州で集める理由がないし、そんな兵を引き連れ上洛しようなどと思うわけがない。詠、お前は疲れすぎている。少し安め」
段?は賈?を心配したように見つめ諭した。
「こんな時に休める訳ないです! 静玖さん、直ぐに集められるだけの兵を率いて私と一緒に来てください」
賈?は段?に話すと部屋を出ていこうとした。
「どこに行くつもりだ?」
賈?を見る段?の視線は厳しかった。
「周公瑾を軟禁するために拘束しにいくんです」
「本気なのか!?」
段?は賈?の発言を狂人の戯言と思っているような表情だった。賈?もそれを感じ取ったのか部屋を出ていこうとした。
「待てと言っている!」
「静玖さんは周公瑾を拘束するのに協力してくれないんでしょ。霞に頼みますから、さっきことは忘れてください」
「周公瑾を拘束してどうするつもりだ。袁前中軍校尉の一件もある。これ以上清河王の勘気に触れるような真似は止せ!」
段?は賈?の進行方向を遮り厳しく叱咤した。
「私は別に勘気に触れる真似はしません。屋敷にお招きするだけです」
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ