第150話 謀臣賈?暗躍す
[4/9]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
んよ」
賈?は李粛に気のない返事をした。
「ところで。咲、あんたに預けた涼州産の駿馬はどうしたの? 持って帰ってきたのなら厩舎に止めて起きなさい」
「あれアタイのモノにしちゃいけないんすか? もう要らないんっすよね?」
李粛は落胆した表情で賈?に言った。
「何言ってんのよ。あの馬幾らすると思ってるの? 贈答用にまだ使えるんだから駄目よ」
「ええ??!? 何すか! 駄賃にくださいよ」
「駄賃ってね。駄賃には高すぎるでしょ。これあげるわよ」
賈?は服の中をごそごそして、ふて腐れる李粛に小さい袋を渡した。金属が擦れる音が聞こえたので銭だろう。李粛は袋を受け取ると袋の中身を覗いた。すると笑みを浮かべた。
「銭っす! 詠さん、いいんすか?」
李粛は満面の笑顔で賈?を見た。賈?は李粛のことを「本当、現金な奴ね」と呆れた様子だった。
「咲のモノだから好きにしていいわよ」
「詠さん、ありがとうっす! 恋を誘ってご飯を食べに行ってくるっす」
李粛は踵を返し肩に乗せた槍を陽気に振りながら去って行った。賈?は一瞥すると仕事に戻るため自分の机に向かった。
気分を取り直して賈?が仕事を始めようとした。
「詠、私だ。今、大丈夫か?」
すると戸越しまた賈?を呼ぶ声が聞こえた。賈?は集中を邪魔されたせいか不満気な表情を浮かべ部屋の入り口に視線を向けた。
「今度は誰?」
賈?は疲れた声で訪問者に返した。彼女は早く仕事を終わらせたいのだろう。机の上の竹巻と扉をせわしく視線を動かしていた。
「私だ。静玖だ」
扉越しから聞こえる声は賈?の態度に気分を害する様子もなく自らの名を名乗った。声音は女性の声であったが先ほどの李粛とは違い落ち着いた実直そうな雰囲気を感じさせた。
「静玖さん? どうぞ入ってください」
「仕事忙しそうだな。あまり根を詰めては駄目だぞ」
静玖と名乗った女性は部屋に入るなり賈?の顔を確認すると開口一番に言った。賈?は彼女の言葉に苦笑いを返す。賈?の様子から彼女とは既知であり親しい間柄であることが窺えた。
「もう少しで仕事が一段落付きそうだから、それが済んだら一休みしようと思います」
静玖と名乗った女性の名は段?。牛輔と並び董卓軍の中核を担う中郎将である。段?は長い黒髪と黒い瞳が特徴的な妙齢の女性だった。彼女の瞳は鷹のように威圧感を他者に与える雰囲気を醸し出していた。しかし、賈?は怖気づくこともなく平然とした態度だった。
「静玖さん、禁軍の掌握はどうですか?」
「いい感じだ」
段?は笑顔を浮かべることもなく淡々と賈?に報告した。
「それは良かったです」
「詠、清河王の配下が洛陽に来
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ