第150話 謀臣賈?暗躍す
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「そうなの。だから劉正礼の陣営に種を巻いたのよ」
「種?」
「不信の種よ。私達と司馬建公が裏で繋がっていると憶測を劉正礼に抱かせるだけでいいのよ。今は十分よ」
「でも、治書御史は受け取らなかったっすよ」
「そうね。それでもいいのよ」
賈?は李粛から逸らし天井に視線を向けて言った。
「何で治書御史にアタイが馬を持っていたら車騎将軍が治書御史を疑うんすか?」
李粛はちんぷんかんぷんの様子だった。
「劉正礼の側室は司馬建公の次女。そして私達は劉正礼の正室である袁本初の命を狙ったわけ」
「治書御史がアタイ等とつるんで前中軍校尉を襲撃させたと思わせるんすか? 流石に無理くないっすか?」
李粛は賈?のことを変な目つきで見ていた。賈?が疲れでとうとう頭がおかしくなったと思っているようだ。賈?は李粛の視線に苛立ちを見せた。
「あんたの考えている通り司馬建公は曲がったことが大嫌いで頑固で厳格な性格だわ。でも、そんなことは重要じゃない」
「何でっすか?」
李粛は賈?を同情するような視線を送った。
「董卓配下のあんたが贈り物を持って司馬建公を尋ねたことに意味があるのよ。後は私が事実に尾ひれをつけて噂を洛陽に流すつもり。劉正礼のことだから洛陽に間者位何人か送ってきているはず。噂が流れれば勝手に劉正礼の元に届くわ」
「相変わらずっすね。詠さん、そんなんじゃ友達できないっすよ」
李粛は賈?に共感できない様子だった。
「別に良いわよ。私には月がいるから」
賈?は椅子に腰掛けたまま腕組みして平然とした様子で李粛に返事した。その様子を見て李粛は小さいため息をついた。
「車騎将軍が治書御史を疑わなかったからどうするんですか?」
「どうもしないわよ。上手くいかなければまた別の方法を考えるだけ」
賈?はあっけらかんと李粛に言った。
「劉正礼が疑わなくても彼の周囲は分からないじゃない。人の信頼関係なんて、案外脆いものよ」
賈?は悪そうな笑みを浮かべ李粛に答えた。
「じゃあ月様と詠さんの信頼関係も脆いってことっすか?」
「何で私と月の関係が脆いのよ!」
賈?が李粛に凄い剣幕で怒鳴った。
「さっき人の信頼関係なんて案外脆いって言ったじゃないっすか?」
「あんた馬鹿じゃないの? あんたは恋が自分を殺そうとしていると誰かから聞いて裏切るの?」
「裏切るわけないじゃないすっか!」
李粛は賈?に怒鳴った。
「そういうことよ。人は強い信頼関係でもない限り疑ってしまうものなのよ。幾ら信頼関係が強くたって距離が離れていれば、その信頼関係も揺らぐものよ」
賈?は冷静な表情で淡々と李粛に言った。
「そんなもんすかね」
「そんなも
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