第150話 謀臣賈?暗躍す
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賈?は執務室で一人書類仕事をしていた。彼女は目の周りに隈を作り時折うとうととし襲い来る疲労と睡魔に抗っていた。
彼女の様子から満足に睡眠が取れないほどの多忙ぶりなのが窺えた。執務室の窓から覗く植木は青々しく太陽を浴び彼女の放つ雰囲気とは対照的だった。
賈?が呆けた表情で窓の外を眺めていると、その木の枝に小鳥が止まり気持ちよさそうに囀りだした。その様子を彼女は恨めしそうにしばらく眺め、視線を机の上の書類に戻し目を通し署名をした。彼女は深いため息をつくと項垂れた。
「あと少しで終わる」
賈?は机に角に積まれた竹巻に視線を向け凝視すると独白した。彼女のつぶやきを聞く者はこの部屋にいない。彼女は視線を戻すと書類仕事を再開した。
賈?はうとうととしながらも筆を走らせる。
ときおり居眠りをするが直ぐに覚醒して仕事に戻る。
この繰り返しで仕事を進めていた。
「詠さん、いらっしゃいますか?」
仕事に集中しようとしていた賈?は声を掛けられたことに不愉快そうに眉根に皺を寄せ扉に視線を向けた。睡眠不足も相まり彼女は気が短くなっているようだ。
「誰?」
賈?は訪問者にぞんざいな喋り方で返した。賈?が感情を隠さない理由はここが執務室とはいえ董卓の屋敷だからだろう。この屋敷は涼州人だけで仕切られているため身内しかない。賈?が気兼ねすることもない。
「咲っす!」
扉越しから聞こえる声は元気が良かった。その声を聞き賈?は声の主に気づいたようだ。
「入っていいわよ」
賈?は外で待つ人物に中に入るように促した。すると部屋の戸を開け女性が入ってきた。年の頃は呂布と年近いように見えた。彼女の名前は李粛。呂布とは親友である。橙色の髪は短く揃えられ、快活そうな健康的な笑みを浮かべていた。室内にも関わらず彼女は直槍を持ち、太刀打ち部分を握り右肩に乗せていた。その様子を賈?は憮然とし半目で凝視した。
「詠さん、相変わらず暗いっすね」
李粛は白い歯を見せ健康的な笑顔で賈?のことを見た。目の周りに隈がある賈?とは対照的である。
「あんた達が仕事しないからでしょ!」
賈?が目を見開き突然李粛を怒鳴った。李粛は驚いた表情を浮かべるも直ぐに笑顔になる。
「適材適所ってやつっすよ。アタイも恋も机仕事は性に合わないんす。詠さん、アタイ等に書類仕事手伝って欲しいんすか?」
李粛は悪気がない人の良さそうな笑みで賈?を見た。賈?はため息をつくと真剣な表情に変わった。李粛との掛け合いで目が覚めたようだ。
「顔色良くなったすね! これアタイのお陰?」
李粛は嬉しそうな笑みを浮かべ賈?を見た。賈?はうっとうしそうに半目で李粛のことを見た。
「司馬建公に贈り物は届けて来てく
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