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遊戯王GX〜鉄砲水の四方山話〜
ターン29 鉄砲水と『D』
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ようになってくると、その間に割って入るように翔が飛び込んでいった。

「お兄さん、やめて!リベンジのデュエルなんて、そんなの間違ってるよ!」
「いいや、違うな」
「え……?」

 ヘルカイザーは無視。代わりになのかなんなのか、エドが口を開く。

「あの眼を見ろ。どうやらこの男、僕へのリベンジなんかよりもっと上を目指しているらしい。僕だってそちらにやる気がないのならわざわざデュエルするつもりもない、集まってくれた観客には悪いが一度退かせてもらうよ」

 それだけ言っていつもの余裕ぶった態度で一礼し、慌てて人だかりが道を開けた中を悠々と歩き去っていく。と思ったらかすかに、本当にかすかに僕のことを手招きしているのが見えた。そっちを見てた僕だからかろうじて気づけたけど、多分他の皆はヘルカイザーと翔に気を取られて全く見ていなかっただろう。一瞬ためらった後、無言で十代の肩を軽くたたいてエドが歩いて行った方向を指さし、そのままその後を追いかける。どうもこの場所では、このまま翔とヘルカイザーのデュエルが始まるらしい。あっちも見たかったのに。

「来たよー。何の用?」

 人ごみから離れた海辺。こんなに波音がする場所にわざわざ連れ込むだなんて、盗聴でも警戒してんのか。

「ここまで来れば、もしマイクが仕掛けられているとしても気休め程度にはなるからな。お前もプロになればこれぐらい嫌でも身につく」

 あ、本当に盗聴警戒だった。何かプロの世界の裏事情が垣間見えた気もしたが、本題ではないのでスルー。なにせこのエドのことだ、わざわざ僕相手にプロとしての心構えをレクチャーするためだけに呼びつけるわけがない。

「……単刀直入に聞こう。斎王について、お前はどこまで知っている?」
「と、いうと?」

 こちらの目を覗き込むようにしながら、僕の返答をじっくりと考えるエド。たっぷり30秒ほどそうしてから、スッと視線を逸らした。

「どうやら何も知らなさそうだな。そうか、斎王め。僕と十代にはこんなものを渡しておいて、こいつには何もしなかったのか。まったく、新年度から妙に気にしていたからもしやと思っていたんだがな」

 そうひとりで納得し、とんだ無駄足だったと1人ごちるエド。どうやら、まーた僕が蚊帳の外にいる間に何かあったらしい。もっとも、僕だって稲石さんのゴーストリック・フロストや古井戸のうさぎちゃん、それにペガサスさんからもらったカードのことは誰にも話してないからお互い様といえばその通りだけど。
 だけど、それは全部僕の個人的なことだ。一方、光の結社並びに斎王は僕にとっても色々関係がある。おかしくなった三沢達だけでも元に戻してもらわないと、あの斎王様万歳なテンションと卒業するまで付き合っていけとか言われても困る。

「さて、することも
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