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遊戯王GX〜鉄砲水の四方山話〜
ターン29 鉄砲水と『D』
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「え!?」

 あとから考えてみれば随分失礼な話ではあるが、僕の第一声はそれだった。でも、こればっかりは誰も文句は言えないと思う。翔がその日の夕食後、何となくゆったりしていた時間に漏らした一言には、これまでの彼を知る僕らにとってはそれほどの破壊力があった。

「だから清明君、僕がお兄さんに挑戦するんだってば」
「お兄さんってーと、ヘルカイザーの?」

 他に誰がいるのさ、という顔でこちらを見てくる翔。いやま、そらそうなんだけど。あの翔が自分からデュエルしたいだなんて、それもカイザー時代からあれだけ苦手意識もってたヘルカイザーに対して。

「いいじゃないか、俺は応援してやるぜ、翔」
「アニキ……ありがとう」
「それで、なんで今なんだ?お前だって見ただろう、あの師匠ですらかなり手ひどくやられていたんだぞ」

 そこで十代と万丈目も会話に参加してきた。十代はまあ、なんというか十代らしい激励だ。万丈目の言う師匠は吹雪さんのことだろう。そうか、僕は結局ラストしか見てないけどそんなにひどいやられっぷりだったのか。

「うん、わかってるよ万丈目」
「万丈目さん……貴様何をする!」
「今話し中なんだからちょーっと黙ってようねー。続けて、翔」

 もはや癖なのか条件反射なのか知らんけど、とっさに名前を訂正しようとした万丈目を押さえつけて話を促す。いい加減慣れりゃいいのに、万丈目も。 

「うまく言えないけど、僕が……僕がやらなきゃいけないんだって、そう思ったんだ。今のお兄さんのデュエルは間違ってる。僕の知っていた、優しくて尊敬できるお兄さんに戻って欲しいんだ」
「翔……」
「それに、僕だってこの間までの僕じゃない。見てよ、これ」

 そういってジャラジャラとテーブルにぶちまけたのは、全てジェネックスのメダル。僕がやれ店だそれうさぎちゃんだとか言ってる間、ずっと人知れず修行を続けてきたのだろう。

「今日も、元オベリスクブルーのホワイトを1人倒してきたんだ」
「オベリスクブルーを?じゃあ翔、逆に聞くけどさ、なんでまだ迷ってるのさ?」
「え?」
「そりゃ、それだけ嬉しくなさそうな顔してれば嫌でも気づくって」

 僕の言葉に、十代も真剣な顔で頷く。

「リスペクトデュエル、か」
「アニキ……」
「お前のデュエルも何回か見てたけどさ、どことなくやり方がカイザーに似てるんだよな。お前の中ではカイザーのリスペクトデュエルはまだ完成してないんだろ?」
「うん、実はそうなんだ。僕はまだお兄さんには遠く及ばないのに、どうすればお兄さんに近づけるのかがわからないんだ……」

 何か言おうかと思ったけど、こういったことに部外者が口を出すのは逆効果かと思い直す。僕に言わせりゃ必要以上にカイザーの背中を追いかけすぎて自分のデ
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