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ある提督の回顧録
2日目
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、見たかと聞かれるならば見たとしか……」

「忘れなさい!今すぐ!」

 顔を真っ赤に染めた叢雲はポカポカ私の胸を叩きつつ叫んだ。
装備をつけていないせいか、ぜんぜん痛くない。

「わかった。忘れた!忘れたから!少し落ち着け!」

 叢雲がちょっと泣きそうになっている。
涙目になった叢雲はとてもかわいらしい。
妙な趣味に目覚めそうだ。

「……だって、見たんでしょう……コレ」

 そう言いつつ見せてきた映像は初めて見たものだった。
叢雲がしきりに胸元を「よせてはあげている」ものだ。
これは……ひょっとしてバストアップ体操だろうか?

「スマン、そこまでは見てなかった」

「うわぁぁぁぁぁぁ!!」

 さらにぽかぽか叩いてくる。
なんだ、昨日と違ってやっぱり可愛いぞ?コイツ。

「落ち着け。とりあえず落ち着け」

「ううう……墓穴掘ったわ……」

 昨日のアレが嘘のようにしおらしくなっている。
こうなるともはやただの垢抜けた美少女でしかない。

「まあ、失敗は誰にでもあるって」

「……よりにもよってアンタに見られたのが嫌なのよ!」

 あんなに「私はアンタより上」って言ってたのにもはや威厳もクソもない。
あえてイジッてみようか。

「そっか、指導艦だもんな?」

「うわぁぁぁぁぁぁ!!」

 ぽかぽか。いやあ、心地良い。
だが、これ以上いじめるのはやめてやろう。昨日の意趣返しができてすっきりしたし。

「最悪だわ……」

「ハハハ、気にするな。……私はもう忘れたよ」

 むぅ、と唸る叢雲。
この子は言葉はきついが純粋であるらしい。
まだむくれてはいるが、さっきよりは落ち着いてきたようだ。

「で?ドッグに何か用事があったのか?」

「ドッグに、と言うよりアンタがちゃんと仕事してるか見に来たの!……ハァ……それなのに……」

「きちんとしてたろ?あと、ありがとな。心配してくれて」

 そう言いつつ頭をなでると、叢雲はまた顔を赤くした。
照れているな。

「アンタ……酸素魚雷を食らわせるわよ!」

 叢雲はそう言うとドッグの外へ走っていった。

「いや、酸素魚雷どころか魚雷自体装備してないだろうに……」

 どうも抜けている叢雲であった。

 ふと、私は思った。なにか忘れてるような……。

「あ、装備……あーもういいや、明日で」

 抜けているのは私も同様であったらしい。
――反省。








 



 夜になり、今日の報告事項をまとめて仕事を終わらせた。
艦娘たちは今頃寝ている時間だろう。

 今日は出撃する必要もなく、平和に終わった。
こんな風に平穏な日常を彼女らに
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