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ある提督の回顧録
2日目
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 鎮守府の朝は早い。
仮にも軍隊であるからには当然ではあろうけれども。

 時刻は朝の五時。
昨日、早めに休んだからか早く目が覚めてしまったので鎮守府内を散歩することにした。

 澄んだ空気の中を一人歩いていると、工廠の方角で明かりがついているのが見えた。
位置的には建造ドッグだろう。
 
 こんな時間から誰か要るのか?
気になるので向かうと、何者かがドッグの隅にしゃがみ込んでゴソゴソと箱の中を漁っている。
遠目で判断がつきにくいが、ポニーテールらしき影が見えた。
この鎮守府でポニーテールといえば……。

「おーい!そこにいるのは夕張か?」

「ひゃぁぁ!!……て、提督!?……お、オハヨウゴザイマス」

 声をかけると、余程驚いたのか夕張は飛び上がった。
そして挨拶が妙に硬い。
 悪戯がばれた時の小学生か、お前は。

「ああ、おはよう。やっぱり夕張だったか……わざわざツナギまで着てこんな朝早くから何やってるんだ?」

「ちょっと目が冴えちゃいまして……昨日はバタバタしててそういえばドッグの中を見れなかったなぁ、と思ったので少し見学するつもりで来たんです。そして提督!ここの設備は良いですね!」

 そう言う夕張の顔は実に輝いていた。
ここの設備はどうやら良いものらしい。

「そうか、私には良くわからないんだがどのあたりが良いんだ?」

「そうですねー……例えばクレーンですが、ここのジブクレーンとゴライアスクレーンはどちらも最新式です!」

「ジブ……?ゴライアス……?つ、強そうな名前だな」

 我ながらチンプンカンプンである。
クレーンの種類なんぞ知らん。

「ジブクレーンというのは目の前の360度旋回できるこのクレーンです。ああ、ジブっていうのはあの腕の部分のことを言うんです」

 夕張はすっごい楽しそうに語ってくる。
あまりにコアすぎてついていけそうもない。

「あー……わかった!設備がいいのはわかったから、どうしてその箱を漁っていたのか教えてくれるか?」

 話が逸れてきたので軌道修正した。
いつまでも続きそうであったので。

「はい!実は、工具も一級品がそろっていたのですけど全部未開封でしたので勝手ながら整理しようかと思いまして」

「……それってしておいたほうがいいのか?」

「箱に入れっぱなしだと何があるのかが判りませんし、なによりもったいないです!」

 もったいない!の部分をやけに強調して夕張は主張した。
悪意はなさそうなので特に注意すべきことはないか。

「工具とかが好きなんだな」

 そう聞くと、夕張は照れくさそうにした。
こうしてみるとやはり年頃の女の子である。

「できるなら工作とかもしたいんですけどね。まだ備蓄が
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