第9話 京へ
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えた。
「京へ?ですが、簡単にはいけないぜよ。しかも、何故再びあの京に?」
「フフフフ。以蔵、再び京を血に染めてこい」
武市の笑い声はまさに悪意あるものだった。
「また京を血に染めていいかよ?」
以蔵もまたニヤリと笑った。
「暴れまわれ、以蔵。我らに足かせはない。再び、京を恐怖のどん底に沈めて来い」
武市は狂笑した。そして、容堂から受けた文書を渡した。
「これは?」
「容堂から受けた命令書よ」
「ってことは?」
以蔵もまた狂笑したい気分だった。
「我らの行動を容認したことに決まっているだろうが」
武市はにやりと笑った。
「はははははは、あはははははははは」
ついに以蔵も狂ったように笑い始めた。
「行け!!以蔵、行って血みどろの歴史を築いてこい」
以蔵は武市の言葉に大きく頷いた。
「おぉ、忘れるとこだった。これをお前に渡そう」
武市は以蔵に一つの紙包みをわたした。
「これは?」
以蔵はその包みを見て問いかけた。
「これを誰に渡すかはお前に任せる。だが、見間違えるなよ」
「わかりました。で、先生も京に向かうんですか?」
「いや、私は長州へいく」
武市は以蔵を置いていくように闇に消えていった。
武市が去った後容堂と象二郎の間には長い沈黙が支配した。が、その沈黙を破ったのは容堂だった。
「象二郎」
容堂は唇を怒りでわなわなとふるわせながら言った。
「はっ」
象二郎は顔を上げ容堂をみた。
「早急に旅立つがよい。そして、見聞をひろげよ。土佐のいや日の本があの化け物共の手に落ちる前に」
「は、ははぁー」
象二郎は再び容堂に土下座で答えた。
が、しかし、その旅は武市たちよりも遅い旅立ちとなってしまった。
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