第5部 トリスタニアの休日
第4章 トリスタニアの休日
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を取り、アンリエッタは中を確かめる。
それは……、アンリエッタがこの女騎士に命じた、あの忌まわしき夜の調査の報告であった。
そこにはあの夜、アルビオンからの誘拐犯……、偽りの生命を与えられ、蘇ったウェールズが誰の手引きで王宮へと忍び込んだかが書かれていた。
「手引きをした者がいると……、そう読めますわね」
「正確には、王宮を出る際に『すぐに戻る故閂を閉めるな』と申して外に出られた方が一名」
「そして入れ違いに、私をかどかわそうとした一味が入ってきたと」
アンリエッタは苦しそうな顔をして、言った。
「ええ、わずか五分後です。陛下」
「それだけなら、偶然と言い張ることも出来ましょう。しかし、あなたの調査書に書かれたこのお金は……、どうにも説明ができないわね」
そこに書かれていたのは、その男が己の地位を確かなものとするために、最近ばらまいた裏金の合計記録であった。
「おおよそ七万エキュー……。このような大金は、彼の年金で賄える額ではありませんわ」
「御意」
膝をついたまま、アニエスが同意の意を示す。
「あなたはよくやってくれたわ。お礼を申し上げます」
アニエスは、身に着けたサーコートの紋章を見つめた。
そこには百合をあしらった紋章が……、王家の印が象られている。
「私は、陛下にこの一身を捧げております。陛下は卑しき身分の私に、姓と地位をお与えくださいました」
「あなたはタルブで、貴族に劣らぬ戦果を挙げました。したがってあなたを貴族にすることに、なんの異議が挟めましょうか。それに……」
そういって、アンリエッタは悲しい顔をして、視線を落した。
「いかがされましたか?」
そんなアンリエッタを見たアニエスは心配になった。
「……わたくしはもう、魔法を使う人間が信用できないのです。一部の古いお友達と、その使い魔さんを除いて……」
「使い魔というのは、例の……」
アニエスはその使い魔という人物を知っていた。
というよりも、アンリエッタから聞かされたことがあった。
貴族でもないのに魔法を使い、しかもそれは圧倒的であり、一撃で戦艦を撃墜させるほどの威力をもつ。
さらには、剣術にも長けているという。
その話を聞いて、アニエスは一度手合せしたいものだと思った。
もちろん、剣術による勝負ではあるが。
「ええ、タルブ戦において、我々トリステインを救ったお人です。……まあ、人というのもあれですが」
アニエスは最後の言葉に疑問を持ったが、アンリエッタが話の軌道を変えたので聞きそびれた。
「まあ、余談はこのくらいにして、アニエス・シュヴァリエ・ド・ミラン」
「はっ」
アニエスはもう一度背筋に力を入
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