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ダンジョンに出会いを求めるのは間違っていた。
閑話 第五話
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速決めますか』
『それはヤベーって、お前ら天界送りにされるぞ』
『それな。女神は食いたし命は惜ししって訓言忘れたのかよ』
『でもだからこそ行きたいもんだろ! お前本当に男かよ!?』
『なんだとオラァ!?』

 ……なんでセレーネ様が混ざった瞬間に男神様サイドで喧嘩が勃発してるんでしょうか……。お互いの胸倉を掴みあげてガン飛ばしあっている傍でそれぞれの眷属が慌しく宥めようと努めている。
 ひとまずセレーネ様はやはりと言うべきか、その絶世のプロポーションと容姿で男神様たちから大人気のようだ。それでも遠巻きに話題に上がるだけというのは一種の遠慮なのか、それとも別の何かがあるのか。

「こんにちは」

 私がその光景に頬を引きつらせていると右肩にぽんと手が置かれた。つられて振り返ると、そこには紅い髪を纏め上げた眼帯の麗人が立っていた。

「こんにちは。……えっと、失礼ながら、どちら様で……?」
「あら、そう言えば私たちは初対面だったわね」

 そう言えばってどういうことだろう。小さな疑問を抱きつつも、目の前でぽんと相槌を打った麗人は懐から名刺を取り出しながら名乗った。

「ヘファイストスよ」
「……えぇっ!? そ、それって、あの有名な……!?」

 あっさりと名乗ったヘファイストス様は「有名かどうかは解らないけど」と言いながら肯定した。いやいや世界各地にブレンドとして武器を始めとした錬鉄製品を輸出している派閥の主神が有名じゃないはずが無いですよ……。
 そう思えばヘファイストス様の体から人ならざる気迫が溢れていて、確かに女神様らしい佇まいをしていた。

「あっ、紹介が遅れましたっ! 私は【セレーネ・ファミリア】所属の……!」
「クレア・パールス、よね? 知っているわ。Lv.3への昇格、おめでとう」
「あ、ありがとうございます!」

 うおお……今の私ブリキ人形みたいだわ……。セレーネ様から話は聞いていたけど、本当にあのヘファイストス様とご縁があると実感すると、自分の矮小さが浮き彫りにされる。それに私はセレーネ様以外の神様と対面するのはこれが初めてだったりする。そりゃ緊張の一つはしますって。
 ガッチガチに緊張して返事が硬い私に、ふふっと笑って見せたヘファイストス様は長卓の方へ目線を送った。

「貴女も大変ね。セレーネは自覚無いのでしょうけど、男絡みに疎いから貴女が支えてやって」

 自覚無いんかい!! 今日一番のツッコミが私の脳内で炸裂した。

「ついさっきセレーネ様からその事で注意頂いたばかりなんですが……」
「耳貸さなくて大丈夫よ。少なくとも貴女の常識の方が正しいから」

 は、はぁ。としか返事できない。いつも悪戯っぽい口調で毎日を楽しんでいそうな笑顔を浮かべるセレーネ様が男と縁が無いと
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