第6章 嵐の前の静けさ 〜アルレスハイム星域会戦前夜〜
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仕入れたんだろうかなんて聞けなかったのでそのままであったが
リンツ大尉から書類を渡された時のメモで
「がんばれよ。」と書かれたものがあった。どうやらリンツ大尉に知られているということは
彼とは5年以上の付き合いであるマッキンゼー少尉から伝わったようだった・・・
まったくと思いながら
「う、うんん。そこまででもなかったよ。」
ニコールはにやにやしながら
「まったく隠すのが下手なんだから。
こういうところも好きよ。」
と言ってきた。
なんと返すべきなのかわからなかったので、沈黙していたら
彼女から話題を振ってきた。
内容は夏期休暇があった時行きたい旅行地などで軍務の話は一個もなかった。
そうこうしているうちに料理が運ばれてきて、食事を済ませた。
食後のワインを飲みながら私は彼女にダンスをしないか?と誘ってみた。
彼女は少し酔っていたようだが、あっさりとOKしてくれて二人とも席を立った時だった。
彼女がいきなり私に倒れるように寄りかかってきたのだ。
正直驚いた。
「大丈夫?やめておこう・・・・」
「か」を言った瞬間に彼女が私の唇をふさいだ。
そして、唇を開放するなり
「いやよ。踊りましょ。」
といって私の手を握ってダンスホールへ降りて行った。
私は士官学校卒業時のダンスパーティで否が応でもダンスの基礎は教えられる。
階段を下りる彼女の足取りは危なかったので私がエスコートした。
ダンスホールには私たちのほかには誰もいなかったが曲が流れていた。
チークダンスをしながら、耳もとで彼女がささやく。
「ヘンシェルの時、覚えてる?
あなたと私が初めて会った時のこと。」
私は
「忘れるものか。
近接格闘技訓練中に後方支援担当士官ということを知らないで思いっきり投げ飛ばしたら、
そいつが腕を折っちゃったんだもん。
しかも、そいつを担いでいったとき君はまだ看護助手だったはずだ。」
彼女は微笑んで
「そうそう。配属されて3日目にまさかのド派手に腕を骨折した人を見たんだもの
彼かなり痛そうだったわ。」
「その時だよね、きみと会ったのは。」
すると、彼女がいきなり
「一目ぼれしたわ。」
いきなりのことだったのでステップを踏み間違える。
一瞬動きが止まる。
「本気?」
と笑いながら聞いたが
彼女は真顔で
「本気よ。
あなたのあわて具合がかわいらしくてね。」
こけそうになりながら、ダンスを再開した。
私は
「あの士官の直属の上官がまさかのキャゼルヌ大佐と聞いてねびっくりしたよ。
当時は中佐で、統合作戦本部の後方支援参事官をやっててあの士官をヘンシェルに直接派遣したのはキャゼルヌ大佐ってことがわかってビビったよ。」
というのもキャゼルヌ大佐は後方支援士官として最優秀の部類に入る士官で、訓練課程
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