第23話
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長の首で手に入る名声。恩賞などたかが知れている。それよりも黄巾の兵力――花よりも実に注目した。
そのために色んな工作をして来た。諸侯の動きを黄巾達が一ヶ所に集まるように誘導したり、なるべく確保できる兵力を増やすために彼等の被害は最小限に――広宗に辿り着いてからは他の諸侯に怪しまれないよう。適度に攻城戦を仕掛けもした。
放っておいても張角は討たれる。集まった諸侯の目には花しか映っていないのだから、だが黄巾達を説得するにあたり大きな問題が生じた。彼等の心を華琳で満たした最後の言葉だ。
一歩間違えれば王朝に反旗を翻しているとも取れる言葉。だからこそ黄巾達の心を掴めるのだが――だからこそ諸侯達に自分達を攻撃させる大義名分を与える事になる。
本来であれば使わなくても良い言葉だった。自分達の他に実兵力を狙う好敵手など存在しないのだから、黄巾達の助命を約束するだけで良い―――だが異変が生じた。
袁紹軍イレギュラーの参戦だ。孫呉の周瑜と同じく内政に集中すると見ていた彼女達にも、寝耳に水な出来事だった。彼等の狙いはわからないが――彼が黄巾達の殲滅に黙っていないことは理解していた。この実を取り込む為に準備してきたのだ。今更譲れはしない。
黄巾達の助命だけでは手ぬるい。だから危険を顧みず矢を『受けた』のだ――矢じりは潰してあったが、放った夏侯淵はしばらく食事が喉を通らなかったと言う。そして袁紹の入り込む隙間を埋める――『天』を敵に回す覚悟があると発言する必要があった。しかしそれでは諸侯を敵に回す可能性が高い。事実彼等にとって曹操はポッと出の太守にすぎない。
功名心に逸った彼等が何を考えるかなど、火を見るよりも明らかだった。
郭嘉はそれを防ぐ為の策を華琳に授けた―――総大将の天幕は陣営深くに設置するものである。
だが彼女、華琳の天幕はわざと諸侯から良く見える位置に設置された。華琳は良くも悪くも注目を集める存在だ。そんな彼女の天幕に、日が沈んでから訪ねる人物がいた。そう。袁紹である。
この地に集まったどの諸侯よりも格式高い家柄、強大な勢力、本来なら挨拶に来た者を出迎える立場にある。
そんな彼が夜更けに自分の足を運んで―――邪推するなという方が無理な話だ。たとえ誤解しなくても袁紹と華琳が旧知の仲であることは明白である。
そこで話を現在の状況に戻そう。もし曹操軍を攻撃した場合だ。彼女と旧知の仲、あるいはそれ以上の間柄かもしれない場合。『大勢力』袁紹はどうでるだろうか、考えるまでも無かった。
苦戦は免れないが曹操軍だけなら、或いは黄巾と曹操軍でも勝算は十分ある。だがそこに袁紹が入るのであれば話は別だ。彼の連れてきた兵力はどの諸侯よりも数が多い。そして武はあの化け物呂布までいる始末。手が出せる
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