第23話
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他諸侯入れ乱れる官軍と、狂気の中で生を見出そうする黄巾賊の間に割って入ったのは華琳であった。いつもの彼女らしくない出で立ち、派手さを優先したような鎧に登場。これはまるで――
「むむむ……出遅れた!」
袁紹の趣味趣向そのものであった。余りの事に皆が制止しているうちに彼女の軍、曹操軍はまるで官軍と黄巾賊、両者と対峙する様に華琳を中心に円陣を組んだ。
「張角が討たれた今、これ以上の争いは無益! 双方武器を収めよ!!」
そして再び要求を繰り返す。呆気にとられた両軍であったが従う者は居なかった。
「……武器を収めてどうするだ?」
やがて黄巾賊の一人が呟く、それを合図にするように彼等は声を上げ始めた。
「どうせ死罪だろ!」
「オラは死にたくねぇ……」
「そうだ! 死罪になるくらいなら此処で――」
再び彼等が狂気に包まれようとしている。それを感じた華琳は声を張り上げる。
「武器を捨て、降伏するのであれば――貴方達の助命、この曹孟徳が保障する!」
『!?』
彼女の言葉に両軍は目を見開く、黄巾達は驚きと共に希望が生まれたことに、諸侯達には疑惑と猜疑心が生まれた。
朝廷の勅旨は黄巾の『討伐』である。捕虜の類をとる指示は受けていない。第一いまの大陸には――否、今のどの諸侯達には万を越える人数を抱える余裕が無かった。
黄巾は殲滅させる――それが諸侯達の暗黙の了解である。
「……曹操殿、そのような勝手は許されませんぞ」
諸侯の中から一人が皆を代表して喰って掛かる。兵を圧力にした言葉だったが華琳には通用しなかった。
「…………勝手?」
「そうであろう。朝廷の命は黄巾の『討伐』『保護』では無い」
「張角が討たれた今、此処に居るのは唯の『難民』よ、そうでしょう?」
「な!? 詭弁だ!! そのような勝手通るはずが――」
「通る・わ、必ずね……そうでしょう? 『袁紹様』」
『!?』
華琳が最後に呼んだ名に彼女に噛み付いた男は絶句し――その視線の先に居る人物に目を向けた。そこには金色に輝く鎧を身に纏った袁紹の、この地における最大兵力を有する彼の姿があった。
(ほぉ……我を利用するか、華琳)
自分を利用しようとする彼女の考えに気が付いたが、袁紹には特に不快感は無い。むしろ人命を救うことも視野に入れていた彼にとって、彼女の言葉は渡りに船だった。
「うむ、彼女の言うとおり此処にいるは難民。黄巾などもはや存在せん」
「う……ぐぅ」
袁紹の言葉に渋々引き下がる。彼を敵に回す度胸を持つものはこの場にいなかった。
その様子に黄巾達は騒然とし出す。先の華琳の言に今の袁紹の言葉――自分達は本当に助かる道があるの
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