適能者-シュウ-
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シュウはなんでもない振りをして呟いた。このとき彼はあることを問いかけていた。
(見たこともない、奇妙な遺跡を見るようになった…いや、まだ言うまい…あれはただの夢だ)
この時期、シュウは頻繁に見る悪夢のほかに、ある夢を見るようになった。
ジャングルの中をさまよい、その果てに遺跡を見る夢を。でも、所詮夢は夢だと考え、誰かに相談しようとするほどのことではなかった。ただ、後にぽろっと尾白に話したが、特に大した受けを頂かなかった。
シュウも特に気にしないように心がけた。正夢なんて言葉があるが、そんなことが現実となるなんてありえない、と。
だが、その夢が後に現実となるとは思いもしなかった。
「シュウ、逃げろ!」
シュウが地球にいた最後の日、丸い鏡のような白い発光体が彼を襲い、シュウはバイクを走らせて逃げ切ろうとする。彼を守ろうとナイトレイダーたちがディバイドランチャーを連射するが、数え切れないほどのビーストを葬ってきた弾丸は発光体には通じることは無かった。
「効いてない!」
「追いましょう!」
仲間たちはそれでも、シュウを助けようと必死で追いかけ、発光体を撃とうとするが、シュウがスピードを上げれば上げるほど、発光体もまた速くなってしつこく彼を追いかける。
(こいつ、さっきからなぜ俺だけを狙う!?)
何か手は無いのか?そう考えるまもなく、彼は白い発光体によって、バイクごと飲み込まれてしまった。
「うああああああああああああ!!!」
スカイダイビング中に雲の中に突っ込まれたかのごとく、周囲が真っさらな白に包まれ、彼は落ちていく。顧問たちの声も姿も見ないし聞こえない。手を伸ばそうとしても、もうどこからこの白だけの空間に入ったのかもわからなくなっていた。
どこまで落ちていくのだろう。このまま自分は、消えていくのか?消えたら、会えるだろうか。
……『彼女』に。
しかし、その景色は一瞬にして消え去る。バシュン!と自分の手さえも見えなくなるほどの光が自分を包み込む。
少しずつ目を開けると、シュウは高原の上に立っていた。何十も何百メートルも落ち続けた感覚に晒され続けたというのに、体はなんとも無かった。
だがそれ以上に驚いたのは、自分がたった今立っている場所。
「ここは…!!」
自分が立っている丘の麓から遥か彼方まで生い茂るジャングル。
そして森の中心の丘の上には、聳え立つ古い遺跡。
間違いなかった。ここは夢で何度も見続けてきた、
あの遺跡だ。
しかし、なぜこんなところに自分が?それに、ここは地球上の一体どこなのか?
いや、ここはどこなのか確認するかは、常に右腕につけているこれで確かめられる。今頃隊長たちもシュウの位置を知りたがっているはず。彼は冷静さを保ちながら、パルスブレイガーを機動、
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