暁 〜小説投稿サイト〜
ウルトラマンゼロ 〜絆と零の使い魔〜
適能者-シュウ-
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プロンを被らされたシュウは、隣の憐と共にクマさんカステラを作らされていた毎週日曜はよく客足が混んで多忙になる。
「8個入り一つください!」
「はいはい毎度!330円になります!」
シュウはコミュニケーションが得意な方ではないし、笑顔も苦手。だからクマさんカステラを作る時は、彼とは対照的な憐が必ずレジ担当になる。笑顔を作れと言われても、シュウは作ることができなかった。かろうじて見せることのある表情と言えば、かすかな戸惑いの顔だけ。よく尾白たちに指摘を受け、それでも練習しようとしても、笑顔らしい顔が全く浮かべられなかった。
そんな彼の得意だったのは、掃除と裏方作業、あとは表情を浮かべる必要のない着ぐるみの風船配りとヒーローショー。それらについては、特にミスはなかった。悪ガキに足を踏まれてちょっとイラッときたことがあったり、なぜかヒーローショーを行う際、よく憐がバッタをイメージした悪サイドの仮面のヒーロー、逆にシュウが正義側のカブトムシをモチーフにしたヒーロー役を務めていた。寧ろ逆のパターンの方がしっくり来るのでは?と尾白が言うが、憐いわく、なぜか別世界の自分を演じてるみたいで一番しっくり来るとのこと。尾白が誰の役だって?彼は必ず真っ先にやられる怪人役だ。
「みんな、仮面○○ダーを応援して!せーの!」
「「「頑張れええええええ!!!」」」
そして、憐の恋人でもある少女、瑞生が司会のお姉さん役を引き受ける。もちろん正義側が勝ち、子供たちの賞賛を浴びて…それでヒーローショーは幕を下ろす。
「あ゛〜!!熱かった〜!!」
「…騒ぐな。耳元で」
「はい、ドリンク」
「お。サンキュー瑞生!」
ショーが終わった後はマスクの下に隠れた、汗びっしょりの顔をさらし、瑞生からの差し入れであるスポーツドリンクを飲んで体を冷ます。
「にしても、今日のショーでの動き、すごかったよなシュウ。なんか筋が通ってるって言うか…どっかで鍛えた?」
隣に座り、少しずつドリンクを飲むシュウを見て、尾白がたずねる。少なくとも彼の記憶する限りでは、以前よりも体が鍛えられているような気がする。彼の問いに対し、シュウは静かに頷くと、瑞生が補足も付け加えた。
「実はね、彼…TLTで西条副隊長から直接鍛えてもらってるの。射撃についても、平木隊員から」
「マジ?あの人から?」
憐はナイトレイダーのメンバーの中では、孤門以外で特に尊敬を抱いているのは副隊長の凪であった。
「結構才能があるって、褒めてたよ」
「すごいじゃんシュウ!頭もいいし、運動もできる!お前って万能だな!」
「……」
万能、それはまさしくあらゆることについて適度な対応ができる、人間ならつかめるものなら掴みたい能力だ。ただ、シュウは万能といわれても少しも喜んでいなかった。
「どうしたの?」
「…いや、別に」

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