暁 〜小説投稿サイト〜
ウルトラマンゼロ 〜絆と零の使い魔〜
適能者-シュウ-
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あの…と言ったところで、尾白は言葉を切らした。一気に、二人の間の空気が悪い意味で重くなってしまった。
「ああ……あの子、か」
「そういや、あの子今どうしてんだ?バイト辞めたって…言ってたよな」
「あ、ああうん!残念だったな〜。俺にとってもいい友達だったんだけどな」
思い出したように憐がそう呟いて、自分の足元を見下ろす。あまり語られていないシュウの過去について尾白は何も知らないようだが、憐は妙にあせった様子を見せた。彼は何か知っているらしい素振りだが、尾白はそれに気付かない。
「そういや…あいつ妙なこと言ってたな。行方不明になる前とか、夢に遺跡がどうこう…って」
夢に遺跡、と聞いた途端、憐がいつになく驚いた表情で尾白を見た。
「…尾白、それマジ?」
「え?マジって…?」
「その夢の遺跡のことだよ」
「どうしたんだよ憐。たかが他人の夢だぜ?」
事情を知らない者からすれば、他人の見た夢なんて特に大した価値などないだろう。どうして憐がここまで驚いているのか理解できなかった。
「あ、いや…別にいいんだ」
自分があまりに普通じゃない態度をとっていたことに気が付き、憐はやっぱりなんでもないと尾白に言った。
憐は知っていた。夢の中の遺跡というものを。なぜなら、彼は一年前にそこに来たことがあったからだ。夕暮れの空の下のジャングルと山に囲まれた、数々の怪物を模した彫刻が立ち並び、見覚えのある巨人と怪物たちの戦いを描いた壁画のある、不思議な遺跡を。
ただの遺跡ではなかった。その遺跡は、どんな交通手段を使っても、選ばれた人間以外は決して立ち寄ることのできない神秘の場所だ。
そして…彼は選ばれた。『三番目』に。そして、最強と謳われたビーストと戦い、勝つまで戦った。
(遺跡の夢…もしかして、光はあいつに?)




その光は、彼の予想通りシュウの手の中にあった。その証であるエボルトラスターが、彼の手にしっかりと握られている。アルビオンのウエストウッド村に向かっていくストーンフリューゲルの中で、シュウは海の上に浮かびながら漂うように、眠っていた。
ガルベロスにかまれた左腕が特に深いダメージを受けていた。まだ癒えていない血だらけの左腕が痛々しい。
シュウはふと、サイトのことを思い出した。最初は、ずいぶんと頼りない印象だった。サイトが地球に対する恋しさから来るものもあったが、やたら最初から同じ地球人でもあるシュウに対して親しげに話しかけてきていた。
反面、シュウもサイトの存在を気にしていた。それは地球人というだけではない。自分の知らないウルトラマンでもあったから、そして…色で現すなら、まだサイトは『白』の中にいたからだ。一度、悪い色に染まろうとしていた時こそあったが、あの後驚くほどに以前までの自分を取り戻していた。この世界に来て真のウルトラ
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