暁 〜小説投稿サイト〜
ウルトラマンゼロ 〜絆と零の使い魔〜
適能者-シュウ-
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って治したはずだ。だが、体が重くてだるい。視界の揺らぎが止まらない。
「大丈夫?なんだかすごく疲れてるみた…い…!?」
気遣いの言葉をかけた途端、シュウは前のめりながら、意識を手放して倒れてしまった。
確かにシュウの傷そのものは、ストーンフリューゲルの中で回復されていた。しかし一方であれは、傷は治癒しても、適能者の疲労までは回復してくれないのだ。今回のガルベロス、メフィスト、ミラーナイトの連戦。ギリギリの戦いを強いられ、シュウの体にはあまりに大きすぎて、ついに村に帰ると同時に限界に達してしまったのであった。
「シュウ、大丈夫!?シュウ!!」
テファが揺すって彼を起こそうとしたが、彼は起き上がれなかった。まさかここまで疲労が溜まっていたとは。
「すまん…働きすぎたようだ。今日は休む」
「…わかった。何か体にいいもの、作るね」
声にも元気が見受けられない。シュウはテファの肩を借りながら部屋に戻った。




ティファニアは、たとえるなら太陽のような少女だった。
純粋さにおいては憐と同じかそれ以上かもしれない。
黄金の光のような頭髪と、美しく可憐な容姿を持つ少女。俺がこれまで会ってきた女性の中では群を抜いていることは違いなかった。最初にあいつの顔を見たときはそうとしか思えないほどだった。
幼い頃、彼女は王家内の揉め事で両親たちを失い、追われた身であるため、世間の目に映らないように暮らしている。そんな苦難の状況下でも、彼女は孤児を引き取って育てている。
まだ『白』の中にいるティファニアと子供たち。家族を失ってなお白であり続ける、まだ幼さを残す子たちと穏やかな日々。
俺にとってその日々は気持ちが軽くなるものだった。肩に背負った何十キロもの重い荷物を放り捨てたときのように。
しかし、ティファニアの太陽のような姿は、ウルトラマンの光と重なって、俺の心の中に拭われることのないまま存在し続ける、俺の『影』を浮き彫りにした。
怖くなった。
自分の『影』を思い出すと、俺の過去が何度も脳裏に呼び起こされる。
失ってばかりの、忘れたくても忘れられない、忌まわしい過去を。
そして自分自身をその度に呪い、疎ましく思う。
俺の存在が、今度は…彼女たちを…。
だから俺は迷う。
俺は確かに彼女たちの使い魔としての契約を受け入れ、この村にいる。その責任を捨てずに全うしないといけないのもわかっているつもりだ。

けど…彼女たちの安全と未来を考えると…


本当に、この村に留まっていいのだろうか?


このときの俺は、そのことを何度も悩むようになっていた。





シュウがテファの肩を借りる姿を、密かに見ていた奴がいた。二人と比べると小さな影だった。木の陰から二人を覗き込んでいる影の、木の幹を握っている右手に力が入る。
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