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ウルトラマンゼロ 〜絆と零の使い魔〜
適能者-シュウ-
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切な人を取り戻してきた。テファもまた、シュウの元に歩み寄ってくる。
「シュウ、その…ごめんなさい。また…迷惑をかけちゃって」
盗賊に浚われただけでも周囲を心配させてしまうし、ましてや今回、未知の怪物が現れ危うく自分たちもあの盗賊と同じように食われてしまうかもしれなかった。今度は命の危機にも追いやるやもしれない事態が、自分の誘拐をきっかけに起きたことを詫びた。
「お前を助けるのは当然だ」
「どうして?」
「俺はお前と使い魔と主としての契約を交わした。それに言ったはずだ。俺はナイトレイダー。あらゆる脅威から人を守るのが仕事だ」
「…ありがとう。この子達にまた会えたの、あなたのおかげよ」
「…」
シュウはどうしたしましてのどの字も言わず、黙って背を向けて家のほうに向かい出す。
「あ…」
彼に礼さえも届かなかったのか、テファは少し寂しげに彼に向けて小さく手を伸ばす。しかし直後に、彼は背を向けたまま静かに告げた。
「無事でよかった」
「え…」
ただ一言の、しかし強い優しさを感じさせる言葉だった。



それ以降、テファを初めとしたウエストウッド村の住人たちの、シュウへの対応はガラッと変わった。いつもどおり無表情でクールな態度のままの彼だったが、子供たちの多くが彼をヒーローのように讃え、信頼を寄せるようになった。
「後はここをネジって……できたぞ。ウサギ」
「おおおお!!」
「すっげー、シュウ兄にこんな特技があったなんて!」
時には、軽い遊び相手にもなった。シュウはバイクの中に収めっぱなしだった、ペンシルバルーンを使って、エマたちに風船で作った動物をプレゼントしたりして、さらに株を上げていった。
「すごい、風船が割れていないし、ちゃんと動物の形になってる!」
テファもこれを見学していた。シュウが風船を使って動物を作る様は、まるで神業を見ているかのようにも思えたほどだった。
「兄ちゃん、どこでこんな特技覚えたの?」
「…友達にちょっと得意な奴がいて、それでな」
興味を示したジムに対し、シュウはそう答える。
友達、という単語を聞いてテファは憂い顔になる。彼は以前、家族はいないと告げていた。しかし、友人はいたことを知り、彼を召喚したことへの後悔を募らせた。
「その顔、また後悔か?」
「え?」
シュウから指摘を受けたテファは顔を上げる。
「今更俺を召喚したことに、要らない後悔の念を抱くな。もし俺がいなかったら、お前は今頃あの男たちの慰み者にされていたんだぞ。もし盗賊を出しぬけても、今度はビーストの餌だ」
「……」
その通りだった。あの時もしシュウがいなかったら、間違いなくテファは売り飛ばされていた。
「でも、だからってあなたが危険を犯すことは…!」
「俺は地球にいた頃から、いつでもあいつらと別れる覚悟はできて
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