暁 〜小説投稿サイト〜
ウルトラマンゼロ 〜絆と零の使い魔〜
適能者-シュウ-
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らないとは思っている。だが、彼女は一人の友人としてはシュウを見つけたいとは思う反面、一人のMPとしてはどうして足取りさえもつかめない人物をこうして頑なになって探し続ける方針が理解できなくもなかった。作戦行動中行方不明として扱われてもおかしくないのに。
「瑞生…今は彼を見つけることに集中しなさい」
首藤は詳しいことは何も言わず、ただ見つけることに専念しろとだけ命令した。



それは、コマンドルームで待機していたナイトレイダーAユニットにも通達された。
「そうですか…まだ黒崎の行方は…」
「はい。申し訳ありません」
これに真っ先に納得できないと申し出たのは孤門だった。瑞生と別れて、すぐにコマンドルームへ来訪しこのことを通達してきた首藤に状況を訪ねようとしたが、凪が首藤の前に立って敬礼し、孤門にとって耳を疑う一言を言った。
「わかりました。もう、戻ってもらって構いません」
凪があまりに淡々と言ってきたことに、孤門と詩織は目を見開いた。まるで彼のことを何とも思っていないようなその態度に怒りに近いものを覚えさせられた。
首藤リーダーが最後に頭を下げ、コマンドルームを去ったと同時に、孤門は大声を上げて凪に怒鳴った。
「副隊長は、彼のことが心配じゃないんですか!?」
「……私が心配しないとでも思った?」
後ろを向いたまま、そう告げた凪の一言に、孤門はハッとなって、一年前の戦いの記憶の一端を思い出す。
かつて孤門には『斉田リコ』という恋人がいた。だが、彼女はある男にその命を奪われ、弄ばれるという残酷な死を迎えた。自分の腕の中で光となって消滅した彼女の死に孤門は自棄になりかけた。そんな時、凪が厳しい態度はそのままに孤門へ手を差し伸べてきた。ビーストへの憎しみを怒りに変えるのだ、と。憎しみは何も生まないものだが、当時の凪はそれを原動力にしなければビーストと戦えなかった。しかしこの一言が、挫折した孤門をもう一度戦いの場へと戻るきっかけにもなった。
「私だって、黒崎隊員のことは残念だと思っているわ。でも私たちの仕事は、常にこういったことが隣り合わせなの。たとえこの先、仲間が何人犠牲になることがあったとしても、私たちはビーストと戦い続けて、勝たないといけないのよ。
あなたも、それはわかっているはずよ」
「…あ…」
「凪…」
和倉も、あの時の孤門が悲しみにくれた時、凪が自分に「私も彼を助けたいんです」と告げたときのことを思い出す。
凪は静かに、コマンドルームから去って行った。

しかしこうは言ってのけた凪だったが、彼女はそれから暇な時間が空くと、フォートレスフリーダムから外出することが多くなった。それも、主にシュウが訪れたことのある場所を次々としらみつぶしに。
それには、彼女のみが知る、ある決意が込められていた。


『本日付で
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