適能者-シュウ-
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先日のあの…ウェールズとメンヌヴィルのアンリエッタ誘拐事件のことは、一切公表されなかった。ただ、メンヌヴィルという要注意人物については銃士隊や、ヒポグリフ隊の全滅で戦力と威信がさらに落ちてしまった魔法衛士隊が捜索に出回っているが、手がかりは無かった。
数日後、遂にアンリエッタ女王即位式がトリスタニアの街で執り行われた。彼女の即位には数多くの民たちが期待を、ある者は本当に役に立てるのか?期待に応えられるのかと疑惑のまなざしを向けたりもした。
しかし、意外にもルイズは街に繰り出さなかった。キュルケはモンモランシーから誘いもあったのだが断ったのだ。サイトも同様だった。実はあの事件の後、二人に与えられた任務は一次休みということで、再びルイズは学業に励むことになったので学院に戻ってきたのだ。当然、彼らが保護しているハルナも同行した。
とはいえ、実際は夏季休業中のはず。サイトたちには暇ながらも安らぎのひと時が流れることだろう。
だが、少なくともある男についてはまだ…。
『ネクサスワールド』の地球。黒部ダムの湖の下、TLT極東支部基地フォートレスフリーダム。シュウが行方不明になってから一か月以上が経過していた。
一年前のウルトラマンと黒い巨人の最後の戦いから大きな役目を持たなくなり、ビースト絡みの事件で行方不明者となった人の捜索を任されていたMPは、行方不目になったナイトレイダー隊員であるシュウの捜索を決行していた。
「黒崎隊員の居所は未だにつかめないの?」
「はい…」
MPの女性リーダー『首藤沙耶』から捜索の現状を聞いて、女性MP『野々宮瑞生』が申し訳なさそうに頭を下げた。彼女は、かつてウルトラマンの光を手にし、『三番目の適能者』としてビーストと戦った頃の憐を任務で監視についているうちに、互いに惹かれあった仲だ。そのため、共に遊園地でアルバイトしていたシュウのこともよく知っている。今回の、彼の謎の失踪についても驚かされていた。
「私たちMPは一年前の黒い巨人とウルトラマンの戦い以降、記憶消去の必要性がほとんどなくなったけど、だからといって私たちの仕事が消えたわけじゃないわ。一刻も早く見つけ出しましょう」
ビーストへの恐怖が、更なるビーストの脅威を招く。そんなビーストの厄介な特性に対してTLTはMPを発足させた。仕事は主にウルトラマンやビースト、そしてTLTにまつわる情報を人々の記憶から消去、隠蔽すること。だが、ビーストの存在を隠しきれなくなった今、現在のMPは存在理由を無くしたかに思われたが、これまでやこれからのビースト事件被害者の身元確認、遺族への救済措置が主な仕事となっていた。
ただ、一つ瑞生には疑問があった。
「首藤チーフ、教えてください。どうして、ここまでシュウ…黒崎隊員を…」
確かに、シュウを見つけ出さなければな
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