暁 〜小説投稿サイト〜
魔法少女リリカルなのはStrikers〜誰が為に槍は振るわれる〜
第一章 夢追い人
第6話 恋と日本文化と戦いと
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にか、なにかうまい言葉はないか……。
 空回ってばかりの頭の歯車をどうにかして噛みあわせようと苦悩するフェイトの目に、家族連れと思わしき4人が目に映る。
 その瞬間、彼女の頭の歯車がカチリと音を立てて噛みあった。

「家族のスキンシップだよ!!」
「家族のスキンシップ、ですか?」

 首を傾げるラディに、勝利を確信したホクホク顔のフェイトが言葉を続ける。

「そう!! 家族のスキンシップだよ!! 日本にはね、裸の付き合いっていうお風呂で親睦を深めあう風習があってね、お風呂に入るのは家族の絆を強くするために絶対に必要なことなんだ!!」
「ほうほう。裸の付き合いで家族の絆を強くする……ですか」

 得意げに捲し立てるフェイトに、うんうんと頷きながらラディは理解を示す。
 腕を組み、視線を食うに泳がせて考え込む様子を見せるラディをフェイトとエリオは固唾を飲んで見守る。
 意味の異なる両者の視線を受けながら考え込んでいたラディは、考えがまとまったのか、組んでいた腕を解きフェイトに向き合った。

「家族のスキンシップなら仕方ないですね。今回は引きましょうか」
「ラディ君!!」
「ラディ陸曹!?」

 喜色溢れるフェイトの声と、絶望に染まったエリオの声がその場に響く。
 満面の笑顔でハイタッチを交わすフェイトとキャロとは対照的に、最後の頼みの綱だったラディに裏切られ、エリオはガクリと肩を落とす。
 そんなエリオの肩にラディは手を乗せた。
 緩慢な動きで顔を上げ、やさぐれた目で自分を見上げるエリオに悪戯っぽくウインクをしてみせ、ラディは再びフェイト達に向き合った。

「でも、ということはオレは、一人で銭湯という未知の文化を体験しないといけないんですね〜」
「え……?」

 勝利したと思い込んでいたフェイトはラディのその言葉に固まる。
 フェイトの予想通りの反応に一瞬目を光らせたラディは、わざとらしく肩を落として溜息を吐く。

「出向当日で隊に慣れていなくて、その上勝手のきかない知らない異界への地へと出張任務。そしてトドメとばかりに“銭湯”という現地の特有な文化に投げ込まれて色々といっぱいっぱいですが、まぁがんばってみます」
「う……」

 効果音と効果線をつけたくなるほどに落ち込むラディにフェイトは言葉を失う。
 だがここで退いては負けだと己を奮い立たせ、なんとか言葉を絞り出す。

「で、でも。ほら。エリオも、ね。銭湯は初めてだし、あんまり変わらないかなーなんて」
「一人と二人とでは心細さの度合いが全然違いますよー」

 辛うじて絞り出した反論も捨てられた子犬のような視線とともに放たれた言葉に即座に潰された。
 このままではエリオは向こうへ行ってしまう。どうにかして取り戻す口実を見つけ出そう
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