第十三夜「花火」
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気付くと、いつのまにかあの頃の自分に戻っていた。だが、それに驚く間も無く、また久しい声が響いた。
「ようっ、久しぶりだな。先に来ちまって、悪かったな…。」
見ると、順平まで来ていた。バツが悪そうに頭を掻いてる姿は、勿論あの頃のままだ。
「あっと、明美がゆっくり来るから、みんなにはそう言ってくれだってさ。」
「うん、聞いてた。ちょっと妬けちゃうかな?でも、今の私たちって、三角関係っぽくない?」
そんなことを美雪が言って、三人して吹き出してしまった。
「じゃ、行きましょ。明美さん、待ってるからね。」
僕は一度明美を振り返り、そして…二人の手を取って光る海へ吸い込まれていった…。
* * *
あの人が亡くなってから、もう三年が経つわね。一年前に友仁さんが亡くなって、弥生と「今度はどちらが先かねぇ。」なんて話してたら、三ヵ月前に弥生が先に行ってしまったわ。
私は到頭一人になってしまったわねぇ…そろそろ仲間に入れてもらわないと。
―ドーンッ!―
「あら、花火だわ…。」
なぜかしら、看護婦さんが怪訝な顔をしてるわねぇ。こんな綺麗な花火が見えないのかしら?
―ドーンッ!―
「ほんとにキレイねぇ…。」
きっと、これが最期の花火ね。ずぅっと見ないようにしてきたのだけれど…
「ほんとに、キレイな花火だこと…」
- ドーンッ…! -
end...
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