第十三夜「花火」
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が話に合わせてるが、そんな中でも花火はずっと咲き乱れていた。
「僕も見たよ。隣町の話しだろ?ほんと、こんな田舎でも物騒になったもんだな。」
僕がこう言ったら、美雪が半眼になって…
「ちょっとジジ臭いわよ?って言うか、こういう雰囲気で話す話題じゃないでしょ!」
そう口を尖らせて苦情を漏らした。それもそうだな。でも明美ちゃんは心配そうな顔をしている。
「まだ見つかってないんでしょ?この人込みの中に隠れてたら…嫌よね…。」
そんなことを言うもんだから、弥生ちゃんは「そう考えると、ちょっと恐いわね。」とか言って友仁の腕に縋りついちゃったりしている。
―クソッ!僕も絶対に彼女作ってやるっ!―
僕は心の中でそう思うものの、現実はキビシイんだよな、これが。そんなこと考えながら美雪をチラッと見た。
―ちょっと違うんだよなぁ、美雪のヤツは。美雪は大切な家族って感じだし。まぁ、順平も似たような感はあるが…。―
順平と友仁は、弥生ちゃんと明美ちゃんを巻き込んで、さっきの事件の話で盛り上がってるみたいだ。
「ねぇ、淳はどんな花火が好きなの?」
少しだけ妄想気味の僕に、美雪が声を掛けてきた。
「ん、花火?あっと、そ〜だなぁ…、さっきみたく下へ垂れ下がってくヤツが好きかもな。」
「ああ、枝下柳ね。私も好きよ。」
そう言ったかと思うと、僕の目の前に出てきて、「でも、やっぱりまんまるでしょ?」と、ニッと笑って僕を見たので、僕は戸惑った。いつもの美雪っぽくなかったからだ。
「う、うん、そうだな。色も多彩だし、やっぱまんまるかな?」
「でしょっ!あ、みんなと逸れちゃうから追い付こ!」
そう言うや、美雪は僕の手を取って、みんなのとこへ駆け出した。
―美雪の手って、柔らかいな…。―
などとバチ当たりなことを考えつつ、引かれる儘にみんなのとこへ行ったのだった。
* * *
土手の上の混雑ぶりは尋常ではなかった。
川原には降りられないため、この土手の上が花火をみるための最前列となるからだ。
「やっぱ花火はここじゃねぇとっ!」
一人お祭り男が張り切ってる。
「順平、わざわざこんな人混みの中で見なくたっていいだろ?」
多少不機嫌に僕が言うと、順平は当たり前と言わんばかりに返した。
「何言ってんだよ!花火だぞ?大スクリーンで見なきゃダメじゃんっ!」
僕の不機嫌さは微塵も伝わってない上、全く意味の分からんセリフで切られてしまった…。
だが、ここで弥生ちゃんが順平に苦言を呈した。
「ねぇ、ここちょっと人が多過ぎて、私たち人酔いしそうだよ。道路側へ降りて見ようよ。」
さすがに順平も女の子の意見を切る訳にも行かず、溜め息混じりに渋々言った。
「まぁ、しょうがねぇか。女の
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