第十三夜「花火」
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そんな余裕があるんだって。」
「じゃ、彼氏は出来た?」
うぎゃ〜っ!美雪のヤツ、何ちゅうことを言うんだ!
「嫌だ!そんなのは困る!」
「私も困るわ…」
―ドーンッ!―
美雪が言い掛けたとこで、花火が炸裂した。
「お、始まったな。」
友仁グループが順平を捕まえて帰ってきた。順平の両手には大量の食料がぶら下がっていた。
美雪の言葉は気になるが、あまりにも滑稽な順平の姿に、僕は美雪と顔を見合わせて笑い転げた。
「おい、順平。そんなに誰が食うんだ?」
「もっち、オレ様だ!」
食えるわけねぇだろっ!たこ焼き2パックにお好み焼きに唐揚げ、クレープにリンゴ飴二本にたいやき(10コ入り?)が一箱、そして何故か桜餅が…。
「順平、桜餅なんて季節外れなもん、どこで買ってきたんだ?」
「これ?源さんの屋台だぞ?今年は桜餅だったんで、思わず10コ買っちまった。」
源さん(68歳)は、毎年この花火大会に風変わりな屋台を出すので有名なのだ。
「そう言えば…源さんって、去年は確か千歳飴の屋台出してたわよね?」
友仁の隣で弥生ちゃんがそう言うや、それに友仁が続けた。
「そう言われりゃそうだ。去年はお前ら忙しくて来れなかったから、弥生と二人で来たんだ。源さん、張り切って売ってたかんなぁ。これが結構評判良くて…」
ふ〜ん、去年は二人で来たんだ。僕はバイトだったし、順平も美雪も部活だかの合宿で居なかったしな。
でも二人で来たんだ。ふ〜ん…。
「ずりぃ!オレなんか訳の分からん合宿させられて、朝から晩まで勉強して走るの繰り返しだったんだぜ?」
「私だって!朝五時に起床で礼拝させられた上に、聖書と神学の勉強させられたわっ!」
順平と美雪がこの手の話しを始めたら止まらなくなるので、僕は取り敢えず話を切ることにした。
「そろそろ川の方へ出ようか?」
そう声を掛けると、他三名の愉快な仲間達がそろって返した。
「異議なしっ!」
そう答えてくれたため、二人分の愚痴を聞かずに済んだ。ホッと胸を撫で下ろしたことは、二人には内緒で…。
* * *
あぁ、どこまでも花火の美しい輝きがあったのなら…。その弾けた瞬間を閉じ込めておけたのなら…。
あぁ、この時の火の花は、僕の心の中に咲き続けるだろう。
水面に映り込んで揺れる、彩どり豊かな火の花は、僕の心の中に、永久に咲き続けてゆくのだ…。
* * *
川へ向う道すがら、ふと順平が口を開いた。
「そう言やさ、ちょっと前にニュースでやってたヤツ憶えてっか?」
「アレだろ?どっかの警官が銃取られた上に大怪我したってヤツ。」
「それだったら私も憶えてるよ?その犯人て、まだ捕まってないんだよね?」
友仁と弥生ちゃん
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