第十三夜「花火」
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らはどこぞの幼稚園児か?高校生の団体が、風船持って楽しく花火大会ですか?
「お前のことだ…本気で持たせるんだろうな…。どんな風船を持たせる気だ?」
俺は恐る恐る聞いてみる。すると順平はいかにも名案と言わんばかりに返した。
「キャラクター入りのカラフルバルーン!目立つこと受け合いだろ?これだったら、いくら淳でも見っけられるぞ?」
絶対見つけたくはないな…そんな団体様は…。見かけても知らぬフリが一番じゃないのか?
しかし…順平は一度言いだしたら聞かないしなぁ…。仕方ない、これも運命と諦めるしかないだろう。
「分かった分かった…。そいつを目印に行くから、夕方六時半にな。」
「おぅ!待ってっからな!」
そこで会話終了とばかり、僕は携帯を切った。
何となく暑さが増幅してるようだ…。
僕らはもう高三だぞ?順平のことだから、あらぬ美少女戦士やカードゲームなんかのキャラクター持たせて喜んでるに違いない。僕は普通の風船を買ってった方が身のタメだな…。
そんなくだらないことを考えながら、再び洗面所へ向ったのだった。
* * *
PM.6:30、ここは三河神社前。予想どおりの混雑ぶりだった。
花火大会と言ってはいるが、一応は町祭りなのだ。この三河神社から真直ぐに延びている道は、丁度三岐川に行き当たり、この神社からでも花火はよく見える。
この三岐川は、三本の川が合流したもので広い川幅があり、この時期は水量が少なくなってだだっ広い川原が出現するのだ。そこで、この三河神社への奉納として花火が打ち上げられる。
以前は御輿なんかも出して本格的な祭りを催していたらしいが、数十年前に神社が火事で全焼した際、祭事具も焼失してしまったので、現在は花火大会としてその名残を留めている。
さてと、ヤツらはどこに…?
―嫌だ!あの団体の近くに寄りたくない!―
もの凄いオーラだ。とんでもなく淀んだ空気に埋もれているような…。
順平以外の一同は皆、持っている風船を見上げては溜め息混じりの苦笑い…と言った風情だ。友仁なんかは切れそうになっている…。
―このまま…回れ右して帰ってもいいよな?―
しかし、そうは問屋が卸さないのが約一名。
「あっ、来たぞ!お〜い、淳!こっちこっち!」
周囲の人々が一斉に、順平と愉快な仲間達&僕に向って視線を投げ付けてきた。
一瞬、辺りの喧騒が止んだ…ような気がするほど、それはまさに異様な光景だった。いや…奇々怪々と言った方が妥当だろう…。
「お母さん、お兄ちゃんなんで女の子の風船持ってるの?」
「ダメッ、見ちゃいけません!」
そんな声がチラホラと…。
「淳〜!早く来いよ〜!」
はぅっ!名前を呼ばないでくれ!って、うわっ!駆け寄って来ないでくれ
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