9部分:第九章
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」
それに応える声がした。
「貴女の武勇の前に誰も適わないだけなのです」
「そして貴方は」
「私ならば」
チェーザレがゆっくりとカテリーナの方に歩いてきた。ミケロットとリカルドを従え兵士達を分けてやって来た。その手にはみらびやかな装飾が施された白銀の剣がある。魅入られるまでに妖しい光を放っていた。それが戦場の砂塵の中に輝いていたのである。
「如何でしょうか」
「面白いですね」
カテリーナは悠然と笑ってそれに応えた。
「貴方とは一度手合わせしたいと思っていました」
「それは私もです」
チェーザレは優雅に笑ってそれに言葉を返した。言葉を返すと共にその手に持っている剣を構えてきた。そしてカテリーナもそれに続いた。
「それでは」
「はい。容赦はしませんよ」
「それはこちらも同じこと」
チェーザレも述べる。
「私が勝てば貴女は私のもの」
「そう上手くいくでしょうか」
「私は欲しいものは何があっても手に入れる主義なので」
それがボルジアであった。今それを堂々と述べてきたのだ。何も怯えることはなく。
「今もまた」
「左様ですか。では私はスフォルツァの剣にかけて」
「それを拒むと」
「いえ」
しかし首を横に振りそうではないと言ってきた。その顔にはまだ笑みが残っていた。
「違います。私が欲しければ」
「勝ってみせよ、ですか」
「そうです。わかりましたね」
「ふむ、確かに」
チェーザレはその言葉に頷いた。じっとカテリーナを見据えながら。
「それではあえて」
「貴方も面白い方ですね」
「ボルジアの生き方が面白いというのならそうなのでしょう」
「そういうことですか」
「そうです。では」
二人は動いた。そしてまずは互いに剣撃を繰り出した。
それは受け合った。一旦退きまた攻撃に入る。カテリーナが仕掛けてきた。
下から上に刀を振り上げる。それでチェーザレの腹を裂くつもりであった。だがチェーザレの動きは速かった。それを読み切りその刀を払ったのであった。
「くっ」
しかしカテリーナは刀を離しはしなかった。そのまま握り態勢を立て直す。それからまた攻撃に移り今度は左斜め上から切り下ろしてきた。
「公爵っ」
家臣達がそれを見て声をあげる。だがチェーザレの動きもまた見事であった。それをかわしてのけた。
攻撃をかわされたカテリーナは一瞬態勢を崩した。その一瞬が命取りになった。
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