一方的な戦闘
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竜から落下して地面を転がる。さらに衝撃で甲冑の頭部分が外れ、素顔が明らかになった。
肌の色はレアと同じく黒めで髪は短めの金髪。それなりに顔の整っているだろう男だったが、今は屈辱と怒気で歪んでおり台なしである。蹴撃と落下時の衝撃はキチンと殺していたらしく、見たところダメージはない。
「貴様ら……素直に殺されてればいいものを……もはや楽には殺さん!」
「会話はキャッチボールだろうに。会話のファイヤーボールとは斬新だな」
竜騎士からすれば俺達を殺す動機はあるのだろうが、俺達からすればいきなり襲ってきて、無様に反撃を食らい、それに逆上した阿呆にしか見えん。
「話を聞かないタイプだね、アレ……」
嫌そうな表情のユウキ。天真爛漫でコミュニケーション能力が高いユウキにしては珍しい表情だ。
まあ、ああいうタイプは俺も嫌いだ。自分が世界の中心とでもいうように考えているやつ。……須郷を思い出すな。
そんなことを話しているとさらに逆上したのか、顔に浮かんでいる青筋の本数が増加する。そして手に持っていた騎士槍を投げ捨てると、腰から騎士直剣を引き抜いた。
「……ボク、あっちで竜の相手をしてくるね!」
そう言うとユウキは竜と対峙する。……俺に騎士の相手を丸投げして。
「はぁ……。ちょっといいか」
「この私を愚弄するのもいい加減にしろ!」
「事実を言ったまでだ。それはどうでもいいが……聞きたいことが」
「死ね!」
「話しを聞け」
斬りかかってくる騎士の直剣を、一本だけ引き抜いた剣で受け流す。技量はそこそこ高い……が単純だ。逆上しているのもあるが、こちらを見下してるのか、教科書のような軌道で剣を振ってくる。
「逃げ! るな! 卑怯! 者め! 素直に! 死ね!」
イクスクラメーションマークと共に剣を振ってくる。しかし当たらない。火花すら、金属音すら鳴らない奇妙な膠着。金属音すら鳴らないのは完璧に受け流しているからなのだが。
周囲から見ると俺が押されているように見えるのが、レアがハラハラしている。しかし、俺は相変わらずの無表情。対して騎士の表情は逆上の表情から、焦りの表情へ。眉間のシワがどんどん険しくなっていく。
「くっ……」
罵倒を浴びせていた口もいつしか固く結ばれ、時折くぐもったうめき声が漏れる。
「とりあえず、俺達の敵ってことでいいんだな?」
袈裟斬りを右下に流しつつ、少し目を細めてそう俺は言うと、竜騎士は少し下がって口を開く。
「当たり前だ! 貴様らはこの私が直々に剣の錆にしてくれる! 潔くそこで腹を斬るというのなら介錯をしてやらんこともないぞ!」
実力差を悟ったのか態度が多少軟化している。とは言っても上から目線なのは変わっていないのだが
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