14.カツオブシは誰がために
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たのにゃ。ギルド関連の情報も頼めば教えてくれるにゃ!」
その情報が正しい事を示すように、呼ばれた猫たちは嬉しそうににゃあにゃあ鳴いている。
キャットピープルというのはネコの言葉が分かるのだろうか?そこまで情報をかき集められるのなら、それは既に立派な情報網である。リングアベルは感心したように猫にカツオブシを与えるミネットの背中を見る。
「おお……本当に猫の事を熟知してるんだな。さしずめねこねこネットワークといった所か?」
「そうにゃ。猫はいいにゃ……決して裏切らないし、みかえりを求めないし………一人でも生きて行ける」
「………!?」
一瞬、彼女の背中に後ろ暗い影が落ちたような気がした。纏わりつく邪気のような負のオーラに、周囲の猫も飛びずさる。
(なんだ、この……闇?ミネットのような少女が何故そんなものを抱えているというんだ……?)
小さくてかわいらしい彼女に見合わぬオーラに、リングアベルは一瞬身構えた。それほどに彼女から感じた闇は深い気がしたのだ。
だが、ミネットはまるでそんなことは無かったかのようにリングアベルの方を振り返り、天真爛漫な笑みでにぱっと笑った。
「ミネットと猫たちのために町中を駆け回ってくれたリングアベルはイイヒトにゃ!明日の祭りが始まる時間にココに来るにゃ!猫の恩返しをさせてほしいにゃ〜!」
負のオーラはとっくに霧散していた。
……気のせいだったのか?とリングアベルは考え直す。元々彼女には似合わない感情だ。表に出てこないならそれでもいいし、触れてほしくないのならそのままにしておくべきだろう。
「ほう、デートの誘いとは積極的だな……その誘い、もちろん謹んでお受けしよう!!」
頭を切り替えたリングアベルも笑顔で仰々しく承諾した。こんなに可愛らしい子供の頼みを断るようでは人として駄目だろう、という思いもちょっとはあるのだが、とにかくリングアベルにはこの誘いにを素直に受けた。
(……となると明日の予定は空けたままにするか。他に誘いが入る可能性はあるが、その時はきちんと埋め合わせしなければな。ふっ、モテる男はツラいね)
女性からの誘いは可能な限り断らない。可能でないなら必ず埋め合わせをする。リングアベルとはそういう男である。
= =
笑顔でリングアベルと別れを告げたミネットは、その背中にずっと手を振って見送った。
そして、その背中が見えなくなって――ミネットは、その方向に背を向けた。
「リングアベルはイイヒトにゃ………でも、ゴメン。ミネットはどうしても、リングアベルの存在を許すわけにはいかにゃいにゃ……!」
――かつて居場所を失って世界を彷徨った一人の少女がいた。
そんな彼女に大きな掌を差し伸べてくれた
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