14.カツオブシは誰がために
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ぬいぐるみがクッションになってくれたことだが、彼女の表情は大切なもの全てを簒奪されたかのように切なかったという。
で、責任を感じたリングアベルは彼女を介護してあげ、彼女が猫にエサを与えるためにカツオブシを欲していたと知りどうにか別の店で手に入れられないかと奔走。その末に、売り切れ寸前の最後の一つを巡ってマダムと長きにわたる交渉を続けた後にやっとカツオブシを手に入れるに至った。言うまでもなくマダムとは連絡先を交換している。
現ナマのカツオブシの香りに刺激されたミネットは目を覚まし、今度は泣きながらリングアベルに感謝。以降、彼女はずっとリングアベルの後ろをちょろちょろ付いて回っているのである。
リングアベルの求める女性ではないが、彼女の自由気ままな行動はどこか猫を思わせる愛くるしさがあり、リングアベルも彼女と一緒にいるのは嫌ではなかった。唯一、彼女の前で他の女性を口説けなくなったのが痛手と言えば痛手だったが、まぁそれくらいはいいだろう。
「あ、ミネットちゃん!大通りを歩いてるなんて珍しいね?」
「ミネットか。三丁目の猫が怪我してたからポーションで治しておいたぞ?」
「ミネットちゃん!今度またテイムのコツ教えてよ!!」
それにミネットは手を振って応えたり感謝したり了承したり、しっかり受け答えしている。
彼女に質問したり周りの様子を見た上での情報を統合するとこうだ。
彼女はミネット。どうやらガネーシャ・ファミリアに所属するモンスターテイマーの一人らしい。
この町の全ての猫は彼女の友達であり、そして主神ガネーシャのことをかなり尊敬している。
そして、怪物祭で奔走するガネーシャ・ファミリアの彼女を見た際の挨拶を見るに、どうやら彼女は単にアイドル的な人気があるだけではないらしい。
そしてそれより目を引くのが、彼女の周囲に集まってくる猫たちである。集まってくる集まってくる、合計30匹はいようかという大量の猫たち。リングアベルが日記を読んでいる時、ミネットはネコに削ったカツオブシを与えていた。
なんでもカツオブシはミネラルが多すぎてあまり猫にたくさん食べさせることは出来ないらしい。人間で言うと超高カロリー食品みたいなもので、今回のこれはネコたちのたまの贅沢らしい。リングアベルの足元にも猫がやってきてすりすりとブーツに頬ずりしている。
「オラリオにこれほどの猫が住んでたとは知らなかったな……どれ、このブチの猫は何という名前なんだ?」
「その子は半年前くらいによその町から来たエルザにゃ。2件先の宿でネズミ番をしてるにゃ。記憶力が良くて、その日に来たお客さんの臭いを全部覚えてるにゃ!」
「ほう。こっちの小さくて白いのは?」
「その子はのカイネにゃ。親がいなくて弱ってたところをギルドの人に拾われ
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