14.カツオブシは誰がために
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「うおっ……ああ、ミネットか」
そう、例えばいつの間にか隣にいた小さな少女の事とか。
金髪のボブカットで切りそろえられた髪がさらりと揺れ、その頭にはキャットピープル特有の猫耳がピコピコ揺れている。背中には彼女の体躯と同じくらい大きなチェシャ猫のぬいぐるみが背負われており、そのアンバランスが彼女の可愛らしさを助長させていた。
子供に手を出すほど落ちぶれた気はないが、彼女は将来かなりの美人になるだろう……とリングアベルは平常運航の思考で推測した。
「光ったのは金属の装飾だろう。大した物ではないさ……男の機密書類だ」
「そーしょく?きみつ?……難しい言葉はわかんにゃいにゃ」
「それよりミネットよ、君はガネーシャ・ファミリアの一員だと聞いているが……祭りを手伝わなくて構わないのか?子供とはいえ何かしら出来る事はあるだろう」
「よーじなら猫の手で足りてるにゃ。この祭りで儲かったお金で今度は最上級カツオブシをたくさん買って、みんにゃでカツオブシパーティーするのにゃ〜♪」
にゅっふふ〜ん♪と不思議な声で輝かしい未来に思いを馳せるネコ少女。
そんな彼女とリングアベルが出会ったのは、ほんの少し前の話である。
オラリオは内陸の都市だ。なので、何でも手に入ると謳われるこの町でも流石に海の幸は手に入りづらい。よって必然的に市場に出回る海の幸は長期保存に耐えうる干物の類ばかりだ。
その中でも特に需要があるのがスープのダシに使用できるニボシとカツオブシ。市場に出回るとこれらの食材はあっという間に売り切れる。
………らしい。厨房に立つレディから雑学がてら聞いた話だ。
そして、そんカツオブシが商品棚に並んだ店舗で、リングアベルは奇妙な少女を発見したのである。
「んん〜〜〜っ!!……ぜぇ、はぁ、ぜぇ………んにゃ〜〜〜っ!!」
商品の入っている箱に必死に背伸びして腕を伸ばしては、力尽きたようにぜえぜえ膝をついてという謎の儀式を繰り返してる謎の少女。ただ、本人はかなり必死なようで、玉のような汗を流しながら頑張っている。こんな異常に店員は気付かないのかと思ったが、彼女の身長が低いせいで陳列棚に隠れてしまっているようだ。
奇妙な声には気付いているのか若干せわしないが、店番を離れる訳にもいかないのか座ったままだ。
「あぁ……その、小さなレディ?君は一体何をしているんだい?」
「み、見てわからにゃいかにゃ……ミネットはぁ……この箱の中にあるカツオブシを求めて……大奮闘中、なの、にゃぁぁ〜〜〜〜〜っ!!」
精一杯に背伸びをしているが、どんなに頑張って手を伸ばしても一向に届く気配はない。ぷるぷる震えながら手を伸ばす彼女の姿は愛らしいと同時に何所か哀愁を誘った。身長というたった一つだけの理由で、普通に
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