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女傑
7部分:第七章
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れた。チェーザレは彼等を前にしてまずは堆く積まれた金貨を見せてきた。
「一体何のつもりなんだ?」
「まさか自分の富をみせびらかしたいだけか?」
「まさか」
 その金貨の山を見て市民達は口々に囁き合った。どうにもチェーザレの考えが読めなかったのだ。
「聞いたか」
 そして戦いの噂話をはじめた。
「戦いは全然進んでいないらしいぞ」
「そうなのか」
「ああ、もう一月経つがな。奥方様は頑張っておられるらしい」
「ああ、それでな」
 別の者が言ってきた。
「向こうの大砲の弾に書かれていたらしいぜ」
「何てだ?」
 市民達はその者の言葉に耳を傾けてきた。
「大砲はもっと緩やかに撃っては如何。貴方達の睾丸が千切れないようにってな」
「うわ」
「また品がないな」 
 カテリーナらしいと言えばらしいあからさまな挑発であった。それだけの余裕があるということであった。
「あの方はまだまだやる気らしいぜ」
「俺達はあの公爵様を選んだけれど」
「果たしてどうなるかな」
「さて」
 チェーザレはそんな噂話を意に介さず下に控える市民達に声をかけてきた。今彼は広場の台の上に昇りそこから彼等に語り掛けているのだ。
「諸君等にまずはこれを見せた」
 あらためて金貨の山を指差してきた。
「そしてだ」
 指し示しながら言葉を続ける。
「これが欲しいか」
「当然だよな」
「今更何言ってるんだ、あの人は」
 市民達はそれを聞いてまた囁き合った。どうにも話が見えてはこない。
「欲しいのならば諸君等が望むだけ与えよう」
「おっ」
「くれるのか」
「それには条件がある」
「やっぱりな」
 市民達はそれを聞いてすぐにこう思った。

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