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女傑
6部分:第六章
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と言った。
「まだ陥落する気配はないな」
「残念ながら」
 こちらの報告も本来なら彼にとって実に不都合な筈である。だがそれでも彼は落ち着いたものであった。
「フランス軍も傭兵隊もその士気を低下させてきております」
「中には持ち場を離れようとする者も」
「出て来ているというのだな」
「はい」
「憂慮すべきことかと」
 この時代の兵士達は金で雇われた者達ばかりである。特にこのイタリアではそうであった。その為彼等は戦利品がない場合や敗北が明らかな場合には容易に寝返った。時には大規模な略奪を働き街に多大な損害を及ぼすことさえあった。後に神聖ローマ帝国とローマ教皇が対立した時にはドイツの傭兵隊によってローマが灰燼に帰している。ドイツの傭兵達はその趣味の悪い服装でも有名なランツクネヒトであり三十年戦争においても悪名を轟かせている。マキャベリはそうした傭兵達を見て市民軍の設立を唱えていた。これは後に各国で実現されることになりチェーザレもそれを徐々に導入していったのである。
「そうか」
 だがそれを聞いてチェーザレの様子は変わらなかった。

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