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女傑
6部分:第六章
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であった。
「運は勇気ある者を助け臆病者を見離すものです」
 カテリーナだからこその言葉であった。彼女はその言葉のままに生きてきた。それだけに言葉には有無を言わせぬ強さがそこにはあった。
「私は恐れを知らなかった者の娘、如何なる不幸に襲われても断固として自分の人生の終わりまでその不幸の跡を歩んで参る所存です」
「最後までですか」
「そう、最後までです」
 毅然としてチェーザレを見据えていた。
「私も国の運というものがどれだけ移ろい変わるものであるのかはよく存じております。ですが私は私の全てである祖先の名を汚すつもりはありません」
「スフォルツァの名を」
「そうです」
 彼女はまた言い切った。
「私には自分を守るだけの力はあります。貴方もそれに対抗出来ない方ではないでしょう」
「ほう」
「チェーザレ=ボルジアとして」
「ふむ」
 チェーザレはその言葉を聞いてカテリーナにまた言った。
「それでは剣を抜かれるというわけですね」
「その通りです」
 今正式に宣戦布告が為された。そのうえでカテリーナはさらに述べるのであった。
「スフォルツァ家の名誉を以って今貴方の御好意に報わせて頂きます」
「わかりました」
 チェーザレはそれを受けて頷いてきた。
「それではそれで」
「はい」
 二人の間に今風が通った。その風は見えはしなかったがそれでも二人の間を確かに通り過ぎ何かをもたらしたのであった。それは確かに二人も感じた。
「ですが申し上げましょう」
「何を」
 さらに言うチェーザレの言葉に顔を向けてきた。
「貴女は私の腕の中に収めると。今ここに申し上げます」
「願ってもない御言葉」
 カテリーナはその言葉を受けて笑った。今度は女としての笑みであった。
「それでは次は剣で」
「ええ、それで」
 カテリーナはチェーザレの言葉を今度は受けた。そして互いにそれぞれの場所に戻り戦いに備えるのであった。今戦いは幕を開けた。
 戦いは誰もがチェーザレの勝利に終わると見ていた。傭兵達もそう思ったいたからこそチェーザレについたいた。これはフランス軍も同じである。しかしカテリーナはやはり剣に生きる女であった。
 手強かった。易々と陥ちると思われた城は中々陥落しなかった。そしてそのまま二週間が過ぎ三週間が過ぎた。カテリーナはそれでも粘り戦い抜いていた。流石はスフォルツァの者と賞賛する声もあればチェーザレの力量を侮りだす声も出て来ていた。
 それをチェーザレの家臣達は敏感に感じていた。それでフォルリの街に本陣を置く彼にそれを伝えてきた。
「それはわかっている」
 その報告に対するチェーザレの言葉は至極落ち着いたものであった。平然としてこう返してきたのだ。
「驚くことはない」
「そうなのですか」
「そうだ」
 彼は悠然
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