第二百十六話 慶次と闇その三
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「それで御主達が遊んでいては。やることは戦だけではないのじゃ」
「ううむ、我等が出来ること」
「そういいますと」
「兵達の鍛錬でも見よ」
これが平手が二人に用意した仕事だった。
「それでもまた仕事じゃ」
「それでそれがし達も入り」
「共に鍛錬をすると」
「それは止めておくのじゃ」
この辺り流石は平手だった、二人が兵達と共に鍛錬をすることについては間髪入れず止めてしまったことがだ。
「御主達が兵の相手をするとな」
「その兵達がですな」
「相手になりませぬな」
「御主達の武勇は無双じゃ」
まさにこの天下にというのだ。
「真田幸村、直江兼続と同じくな」
「あの二人は政も見事ですな」
「そちらも」
「そうじゃな、しかし話を御主達にすると」
その武勇にだ。
「それはな」
「それはですか」
「我等のことは」
「兵の相手をすれば」
「兵達がもたぬと」
「だから止めておけ、兵達は鍛えねばならぬが」
それでもだというのだ。
「戦の場で死ぬのならともかく鍛錬で使いものにならなくなってはお話にならぬ」
「では我等は兵を見つつ」
「酒でも飲んで」
「そしてそのうえで」
「呑気に過ごしまする」
「だからどうしてすぐに遊びたがる」
平手はここでまた二人に怒った。
「尾張の頃から変わらぬな」
「ははは、そうですな」
「言われてみれば確かに」
「我等は尾張の頃からこうで」
「その時から変わっておりませぬな」
「全く、どうなのじゃ」
また言う平手だった。
「御主達は動かねば遊ぶしかないのか」
「寝てばかりも性には合わぬので」
「どうしても」
「呆れた奴等じゃ。今日はこれで帰るが」
それでもと言う平手だった。
「わかっておるな」
「ではまた」
「小言をですか」
「言う、何度でもな」
諦めることなくというのだ。
「御主達にな」
「ううむ、流石は平手殿」
「やはりそう来られますか」
二人も苦笑いながら頷きはした。
「我等にそのつもりはなくとも」
「それでもですか」
「その様にですか」
「仰いますか」
「そうじゃ、今日はこれで終わるがな」
それでもだ、日をあらためて再びというのだ。
「そうする、ではな」
「では、ただ」
ここでだ、慶次は急に神妙な顔になってそのうえで平手にこうも言った。
「平手殿は最近松永殿を」
「前からじゃ」
即座にだ、平手も答えた。
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