第1話
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女」
実は、昼間に誠が持ってきたいい話とは結城先輩がおれにオカルトに対抗する術を直々に指南してくれるというものだった。
「あぁ。かなり名の通った名家らしいな。あくまで噂だけど、先輩の実家は警察だけで解決できなかった事件のいくつかを寺の人間だけで片付けてしまうことがあるらしい」
「まぁ。そんな噂が・・・」
「火のない所に煙は立たないっていうから、近いことはやってるんだとは思うんだけど」
「結城望さん、ねぇ。彼女すごいわね。生まれは地元の名家でオカルトには精通していて、魔術の成績は学年でもトップクラス。それに加えて学内のミスコンでは勝手に応募されて最終審査まで残った容姿の持ち主らしいじゃない」
学内のミスコン、ねぇ。あれ?それってまだ今年やってないよな
「最後のなんで知ってんの?」
「以前ちょっと、小耳に挟んだのよ」
自分から聞いておいて帰ってきた答えに納得する。夕がこの学園に出入りするようになったのはここ最近のこと。それ以前の学園内のことは他の誰かから情報を調達したというのはごく自然なことだろう。
「ほんと、トンデモ規格の持ち主だよな」
「あなた、自分のことを棚に上げていない?人のことは言えないわよ、亮介」
「それ、そっくりそのまま夕にも返してやるよ」
「あら、私のどこがトンデモ規格だというのかしら」
「しらばっくれて」
「へぇ。あなた私のことをそういうふうに見ていたの?」
「ちょっと待て!どういう意味だ!?」
急変した夕の雰囲気に圧倒されてしまう。
飄々としたいつもの夕はいつの間にか、妖しさを醸し出す何者かへと瞬時に化ける。
なんというか、このギャップには毎回ついていけない。
いや、ただ遊ばれているだけなのだろうけれども。
「さぁね?そういう意味ではないかしら?」
クスクスとおかしそうに笑う彼女からは先ほどの妖しさはすでに消え失せていた。
「そうそう、今日は買い物に行かなくてはならないのではなかったかしら?冷蔵庫の中身は空っぽだったはずよ」
「えぇい、話を逸らしおって。しょうがない。大人しく食糧調達にでも行きますか」
今回もおれの負けで勝負がついたわけだ。
最後に強がりを言ってはみたけど、そこからさらに追撃を受けることはなかった。
「そうしましょう」
そういっていつの間にかおれの正面にあった体をおれの右横に再び寄せてきた。
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