第1話
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翔太の4人らしい」
「たいそうなメンバーだな。部長、副部長が二人とも調査に参加とはな」
「そういじけるな。お前は相手が人間だった場合は最終兵器になるんだから」
「いじけているわけじゃないさ。ただ、オカルトに対して非力な自分が恨めしいだけだ」
「似たようなものだと思うけど・・・。まぁいいか。そんな翔太に朗報だ」
「朗報?」
「そうだ」
ニヤリと口元を吊り上げた誠は、少しの間をおいて再び口を開いた。
◇
昼間は高い湿度に7月とは思えない気温が相まって、非常に過ごしにくい日となった。
とはいえ、この時間にもなると昼間の蒸し暑さが嘘のように冷涼な風が道行く人々の肌をなでるようになる。
時は夕暮れ。時刻は午後6時。
山の向こうに沈みゆく太陽が空の半分を赤く燃やす一方、存在感を増した月が「早くおやすみなさい」とばかりに深い闇といくつかの星々を引き連れて東の空を駆け上る。
普段から何気なくある光景だがそれは美しく、壮大で見るものを圧倒する。
堅苦しい名前の建物から出てきたおれを迎えたのは、そんな心惹かれる自然たちであった。
その建物というのは、大学内にある図書館のことだ。
誠と別れた後、おれは講義で課されたレポートを仕上げるため、ここに籠っていた。
しかし、それも終わり右手の手提げに借りた本を何冊か放り込み、帰路につこうと図書館から出ると聞き慣れた声が聞こえた。
「あ、ようやく出てきたようね」
周りに人がいないかだけを確かめて、正面の花壇に浮いている夕に返事をする。
「待たせて悪いな」
「そんなことないわ。気にしないで」
歩き出すと夕はおれの右隣をふわふわと浮遊するようについてくる。
「何か手がかりはなかった?」
「そうね。少なくともここの文献には参考になりそうなものはなかったわね。一通りの資料は見て回ったのだけれど」
「そっか。ありがと」
「いえ、たいした作業ではないから気にしないで」
学園の図書館は私立なだけあって資料の数は膨大だ。おそらく県立の図書館レベルをあっさりと上回る蔵書数を誇っているだろう。
ここには書籍化されたものだけではなく、過去に起きた事件の資料や概要をまとめたものまで保管されている。今までのオカ研の先輩たちも調査の依頼を受けた時は、ここから資料を探し出し、調査の参考にしていたそうだ。
そんなわけで、彼女に頼んでいた作業とは足並地区の事件に関しての資料探しだ。似たような事件が過去に起きていれば、それを手がかりに身の守り方を考えられると思ったが、そう甘くもないようだ。
「あとは、先輩の指導に任せるだけ。か」
「そうね。どんな特訓か楽しみだわ。有名な寺の娘さんなのでしょう?彼
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