第1話
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の日課になりつつある今日この頃。
「またそうやって、からかう」
今のおれではこの返しで精一杯だ。
もう少しうまい返しができればいいんだけだどなぁ。
「あら。だれか廊下を歩いて来るわよ」
人の気配を感じ取った夕がそう教えてくれる。
「あぁ。ありがと」
ここで一旦、夕との話は終わりだな。
誰かに聞かれると色々と面倒くさいことになるだろうから。
◇
「お、ここにいたか」
2回、ノック音がする。
扉が開きひょっこり顔を出したのは同じ高校に通っていた赤城誠だった。
「どうした?」
虫の知らせというやつか。何か嫌な予感がする。
「足並地区の住民からオカ研宛てに正式に調査の依頼が来たんだ。調査時期は夏休みに入って最初の土曜日からだから、8月の一週目だな」
「足並・・・。おいおい。それってまさか」
足並地区ではつい最近、かなり猟奇的な事件が起きていたはず。
それは今から約2週間前に始まり、現在も続いている。
最初は誰かが鬱憤を晴らすために、近くにいた動物に当たっているのだと思われていた。
標的になっていたのは主に野生の鳥や人間に買われていた動物たち。
ケガの多くは凍傷。それも比較的軽いもので治療をしなくても後遺症が残らない程度のものだった。
しかし、1週間後。この事件はより一層血生臭いものへと変貌する。
この時被害にあったのは、当時捜査に当たっていた地元の警察官。
遺体で発見された彼の下半身は氷漬けになり、背中には巨大な切り傷が3つ、胸には鋭い刃物が突き刺 さったような跡があったらしい。
そして、この胸の傷は心臓を貫いており、この傷が致命傷となって絶命したと報道されている。
その後、人間に対する被害は出ていないものの骨だけになったカラスや、内臓を撒き散らかされた野良猫、首だけ取り残された鶏というように以前より残虐性を増した骸が発見されるようになった。
その骸に共通して言えることは肉のほとんどがなくなっているということ。
そう。まるで食いちぎられたかのように――
「あぁ」
たしか現場の惨状からつけられた名前が・・・
「今話題になっている食い散らかしの件だな」
誠の口からは聞きたくない単語がでてきた。
「やっぱりそうか。で、なんでおれに白羽の矢が立ったんだ?オカルトに関しては霊感以外にこれといったものはないと思うんだが」
というか、今回の件はどう見ても人間の所業でないことは誰が見ても明らかだ。魔術しか使うことのできないおれに出る幕はないはず。
「それは分からないさ。指名したのは結城部長だからな。ついでに言っておくと今回の調査メンバーは結城部長、白石副部長、おれ。それと
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