第22話
[7/8]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
るな、だが……まずは張角だ!)
その頃、広宗の広場で指揮を取る『張角』は焦っていた。いくら広場といっても建物や壁に囲まれていては、数の利は十全に発揮されない。
黄巾は人海戦術が肝だ。いくら補充要因がいてもそれが出来なければ意味が無い。加えて、前線では化け物のような武将呂布が暴れている。所詮農民の集まりである黄巾の士気は下がる一方だった。
「くそ! 一旦引くぞ」
たまらず後方に下がろうとする。自分はこんな所で死んでいられないのだから――
「そんな……張角様!」
そんな彼の様子に側近の一人が声を上げる。そしてそれは――官軍の耳に届いた。
「張角……張角がいるぞおおお!」
「手配書と同じ風貌、間違いない!」
『張角』を確認した官軍は勢いが増した。逆に黄巾達は勢いが無く、まるで素通りの如く官軍達は張角を目指し進軍していった。
「ち、ちくしょう!」
『張角』は恐怖から後方に走り出す。官軍の――そしてあの化け物の矛がすぐそこまで迫っている。もはや形振り構っていられなかった。
「逃がしません!」
「ヒッ……女!?」
逃げる先で女――周泰が突然現れ情けない悲鳴を上げる。
甘寧と周泰の両名は、黄巾賊後方の建物に身を隠し機を測っていた。手配書に描かれている張角を探し出せたまでは良かったが、周りが黄巾で固められていて手が出せなかったのだ。
すると突然『張角』は周りの制止を振り切り走り出した。自分達の潜んでいる下へと、まさに火に飛びいる夏の虫――この機会を逃す二人では無い。
「餓鬼じゃねぇか、どきやがれ!」
「餓鬼じゃありません!!」
童顔な周泰に悪態をつき、彼女の逆鱗に触れたことにも気付かずに『張角』は剣を振り下ろす――が、怒りを伴った周泰の長刀に圧し負かされ、粗末な剣は折れてしまった。
「く……おい野郎共! 早く俺を――っ!?」
「こいつらがどうかしたのか?」
たまらず自分の側近達に呼びかけようとして止める。彼等は甘寧の手によって、既に物言えぬ姿へと変わり果てていた。
「あ……あぁぁ」
「終わりです!」
絶望から動きを止めた『張角』は、抵抗も出来ず自身の首と別れる破目になった。
「黄巾の長『張角』この周幼平が討ち取りましたーーーー!!」
『うおおおおおおおおおおお!!』
「良くやったわ明命ーー!」
官軍の勝鬨に紛れ孫策が嬉しそうに褒め言葉を叫ぶ、この場に『張角』が居たことで一時はどうなるかと思ったが、討てたのならば問題は無い。
そして歓声に隠れ、前線に向かっていく旗があった――
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2025 肥前のポチ