第22話
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歩踏み込めば星を間合いに入れられる位置で止まり、今にも斬りかかって来るような気迫を醸し出している。
「やはり生け捕…………女?」
星が連れている三姉妹を見て、一瞬だが甘寧は呆気にとられた。手配書から張角を男と認識していたこと、星が連れ出したのは張角だと予想していたこと故の驚きだった。
「我が名は甘寧、孫呉の将だ……お前は?」
「我が名は趙雲、袁家現当主袁紹様の将よ」
「っ!? ……失礼致しました」
袁家の名を強調され緊張する。先の文でもある通り、自分達の頭脳である周瑜が辛酸を舐めさせられた相手だ。勢力さも比べ物にならず下出にでる他無かった。
「……後ろの者達は?」
「それよ! 主の命で張角を討とうと警備が厳重な屋敷を覗いてみれば、張角の姿は無く彼女達が監禁されていたのだ。
本来なら張角探しに行きたいところであるが……被害者である者を放っておくのは義に反するであろう? 故にこうして安全なところまで連れて行こうとしておるのだ」
「え? 張角はわた――「「天和姉さん!」」むぐぅ」
「……」
後ろのやり取りが少し気になるが、趙雲の言葉に不自然な点は無い。あるとすれば何故屋敷の場所を知っていたかだが――途中まで二人に付いて来て後は勘で進んだら行き着いた。とでも言われればそれで終わる。
「思春さん……この人たちは――」
男ですよ? 疑惑が晴れない甘寧に周泰は決定的な矛盾を突く、碌に説明は受けていなかったが何となく張角かもしれないと、甘寧が考えていることは肌で感じていた。
「……わかっている」
既に穴が開くほど見た手配書を、懐から取り出し再び目を通す。
そこに描かれていた張角は強面で、およそ目の前にいる三姉妹には似ても似つかない。
「……行くぞ明命」
「はい!」
完全に疑惑が晴れたわけではないが、そこにいる三姉妹が張角で無いなら早急に探し出す必要がある。甘寧は化かし合いよりも任務を優先した。
この手配書、もしも袁家で発行していたら彼女はさらに疑ったであろう。これには風の隠れた名采配があった。
手配書を作成するに当たり彼女はまず、この『張角』の情報を漢王朝に袁家の名を伏せ提出した。黄巾の乱が起きてから権威の失墜を感じていた彼等は、喜々してこの情報を各諸侯に流布した。まるで己たちで調べ上げたとでも言うように――
「……」
周泰と二人、官軍と黄巾が争っている広場に向かいながら甘寧は思案していた。
あの者――趙雲の任は張角の『首』では無い。旅芸人の救出が目的? だとしてもそれだけで破格の物資を投入するだろうか――考えすぎかもしれない。しかしどうにも腑に落ちない。
(後で詳しく調べる必要があ
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