第22話
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孫呉の将黄蓋、弓の使い手として目に自信のあった彼女には辛うじて恋の矛が見えていた。
「いいわぁ……あの娘、戦ってみたい」
「正気か策殿、あの武はわし等と次元が――!?」
誰が聞いても無謀と取れる言葉を呟いた孫策を諌めようと顔を向け、口を閉ざす。
他の者達が呂布に恐怖や畏怖のような目を向けているのに対し。孫策の目は何処までも野生的で、まるで獲物の様子を窺う虎のようだ。
堅殿、貴方の血は確かに色濃く受け継がれていますぞ――孫策のそんな様子に意識を戻した黄蓋は、孫呉の第二の目的、諸侯の前で自分達の武を見せ付けるため弓を引いた。
「す、すげぇ……」
「ああ……」
どこぞの兵士達から感慨の声が上がる。袁紹軍の呂布はもとより、孫呉の孫策と黄蓋、曹操軍の夏侯惇は一騎当千の腕前で次々と黄巾達を倒していく、そして一見地味だが呂布隊の面々、常日頃から彼女と鍛練に明け暮れている彼等は臆する事無く大群に向かい。前線で戦う彼女等の討ち洩らしを防ぐように、堅実に敵を屠っていく――
「ここか」
所変わって星。張三姉妹の救出を任されていた彼女は、三姉妹が匿えられているとされる屋敷の近く、物陰から様子を窺っていた。
広宗から南皮にやって来ていた『難民』の中には三姉妹の愛好者の姿もあった。そんな彼等に彼女等を救出する事を条件に広宗内部の作りと、この屋敷の場所を教えてもらったのだ。
普段十数人に護衛されているその屋敷は、『張角』がいる屋敷より堅固に警備されており、孫呉の間者二人は奇しくも、此処に張角がいると断定していた。
「時間も無い。行きますか」
見張りの数と位置を確認した星は、勢い良く物陰から飛び出し駆け寄っていく――
「な、なんだ貴様、官ぐ――」
屋敷の門前に五人いた見張りの意識を奪う。本来なら倍以上の人数がひしめき合っているはずだが、先の小火騒ぎに借り出され彼等しか残っていなかった。
そして星はそんな彼等の意識を奪うことまでで留める。息の根を止めたほうが確実性もあるのだが――南皮の謁見の間で袁紹に頭を下げて願ったあの男の顔が浮かんだ。彼と同じく三姉妹の愛好者として彼女達の護衛についている彼等を、手にかけることが出来なかった。
説得という手も有ったかもしれないが――それではどこから情報が漏れるかわからない。
「!……誰!?」
敏感に人の気配を察知した次女地和は、姉と妹を守るように彼女等の前に出た。
そんな彼女達に華蝶仮面――星は姿を表し一言
「時が惜しい。お主等は生きたいか? それとも此処で散りたいか?」
「なっ!?」
根も葉もない奇人のその言葉に三姉妹は目を見開く、半ば生を
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