第6話
[5/9]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
げてゲオルグがなぜそう思うのかを聞き返す。
ゲオルグはその問いに、後部座席のひじ掛けを指差して応じた。
「聖王家の紋章・・・。なるほど、これはうかつやったね」
ゲオルグが指差した先にある聖王家の紋章の彫刻を見てはやては苦笑する。
「で、なんで聖王教会に? そもそも今日は何の用だよ?」
真剣な表情で尋ねるゲオルグに対して、はやては人差し指を顎にあてて
小首を傾げて考え込むそぶりを見せる。
「んとな、私が立ち上げようとしてる新部隊にゲオルグくんをスカウトしたいって
話をしに行ったやんか。
そのときにゲオルグくんが部隊の設立目的がようわからんって言ってたから
それについて補足を入れようと思ってん」
「そんなこと言ってねえよ。俺が言ったのはあれほどの戦力を集める目的が
判んねえっていったんだよ。
それにしても、補足・・・ねえ。 それはありがたいけど、
わざわざ聖王教会までってのはさすがに面倒だろ。
本局じゃできない話なのか?」
「本局でも話だけならできるんやけどね。
ただ、もう少し情報に信ぴょう性を持たせたかったんよ」
「あ、そ・・・」
ゲオルグは呟くように言うと、窓の外の景色に目を向けた。
転送ポートから1時間ほど走り、2人を乗せた車は聖王教会の敷地に入った。
道の舗装が石畳に変わり、小刻みな振動がゲオルグとはやてにも伝わる。
やげて車は大きな石造りの建物にある車寄せで止まり、運転手がドアを開けて
2人は車を降りた。
「俺、ここに来るのって初めてだわ」
「そうなん? ぜひゆっくり案内してあげたいとこやけど、今日は勘弁な。
時間ないし、人を待たしてるし」
「いいよ、別に」
2人は見上げるような大きさの木の扉を抜けると、石壁に囲まれた通路を
靴音を鳴らしながら歩いていく。
双方無言のまま5分ほど歩き、ある扉の前ではやての足が止まった。
はやてが扉をノックすると女性の澄んだ声で"どうぞ"と返答があり、
はやてはノブに手をかけてドアを開けた。
はやてに続いて部屋に入ったゲオルグを、部屋の真ん中に置かれた丸いテーブルの
向こうで柔らかな微笑みを浮かべている金髪の女性が出迎えた。
「ようこそ、シュミット3佐」
ゲオルグは女性の顔を見て何度かまばたきをすると、慌てて姿勢を正し敬礼した。
「お初にお目にかかります、グラシア少将閣下」
大声を張り上げる・・・というほどではなかったにしろ、
結構な音量でそう言ったゲオルグの顔を隣に立つはやては目を丸くして見上げた。
対してゲオルグがグラシア少将と呼んだ女性は、笑みを崩すことなくゲオルグに
語りかけた。
「ええ。はじめまして、シュミッ
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ