第6話
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「あ、悪い。 後にしようか?」
気遣うように尋ねるゲオルグであったが、はやてにはそれが逆に癇に障ったのか
苛立たしげに頭をガシガシとかき回す。
「もう!! ええから、早く用件を言ってくれへん!?」
「ん、悪い。 あの、昨夜メールくれただろ?
あれ、意味がわかんないから、どういうことか訊きたいんだけど」
ゲオルグがおずおずと控えめに尋ねると、はやての口元がピクリと動く。
そしてはやては目を閉じ、深いため息をついてからゲオルグの方を
呆れたような顔で見た。
「ゆうべのこと、全然覚えてへんのかいな・・・」
がっくりと肩を落としてそう言うと、はやてはゲオルグが酔って
すっかり忘れてしまった前夜の出来事をまくしたてるように、
若干の愚痴を交えて2分ほどで話しきった。
「・・・すみません。 本当にすみませんでした」
はやてが話し終えると、ゲオルグは身体を小さくして平謝りに謝った。
「・・・ほんなら、明日は13時に迎えに行くから。 よろしく」
だがそんなゲオルグの謝罪ははやてに感銘を与えることはできなかったようで、
はやては仏頂面のまま吐き捨てるように最後の台詞を言い放つと、通信を切った。
ゲオルグは数秒間通信ウィンドウの消えた虚空を見つめると、
深いため息をついて自分の椅子の背もたれに体重を預けた。
(酔って何も覚えてなかったのはともかく、連絡する時間は
もうちょっと気を使うべきだったよなぁ・・・。はぁ・・・)
前日の出来事を振り返っていたゲオルグはもう一度深くため息をつく。
そのとき、官舎の前に一台の乗用車が止まり、後部ドアの窓があいた。
「おーい、ゲオルグくん」
聞こえてきた声につられてゲオルグが顔を上げると、
開いた窓の奥から手を振る笑顔のはやてと目があった。
「はやて?」
「お待たせやね。 乗って」
はやての言葉を聞いたゲオルグは、すぐに立ち上がって車の方に歩み寄ると
後部ドアを開けて車に乗り込み、はやての隣に腰を下ろした。
そしてゲオルグがドアを閉めると、車はすぐに走り出した。
「なあ、はやて」
一息ついてゲオルグが話しかけると、窓の外の景色に目を向けていたはやては
目を瞬かせてゲオルグの顔を見た。
「なに?」
「昨日の朝の件なんだけどな、寝てるところに連絡しちゃって済まなかった」
「ん? ああ、あれ? まあ、迷惑は迷惑やったけど別にええって。
ゲオルグくんは私が前の日に帰りが遅かったんなんか知らんかったんやし」
神妙な顔で頭を下げるゲオルグに対して、はやては苦笑しながらヒラヒラと
手を振って答える。
その様子を見てはやてが前日のことを怒っていないと理解したゲオ
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