第十二夜「前奏曲」
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星空を眺めてる私に、浩司がそっと問い掛けてきた。少し恥ずかしそうに…。
―まさか…ねぇ…?―
私はドギマギして、どう答えようか迷った。そして…
「別に怒らないよ?こんなにキレイな星空が見れたんだもん…。」
こう言ってみて、彼の反応を待ってみた。
その間、私は星空を見続けていたけど、ドキドキする気持ちが止まらなかった。
肝心の彼と言えば…少しモジモジしていて、なんだかセリフを探してるみたい…。
でも次の瞬間、私の方へと振り向いて言ったのだ。
「翠、俺と付き合ってくれっ!」
その真直ぐな言葉に、ちょっと感動した。男らしいじゃん…浩司…。
―紫苑姉と爛兄に、どう言えばいいかなぁ…?―
私はそんなこと考えながら、恥ずかしそうに返事を待っている彼に向かって、少しずつ顔を向けた。
―ガラス細工コレクションは、紫苑姉のものねぇ…。こんなに早く分かっちゃうなんてね…。―
「私で良かったら…、お付き合いします。」
こんな言葉しか出なかった。ドキドキし過ぎて…。でも、浩司と言えば…
「ヤッタァーッ!翠がいいんだ!これでやっと“彼女”だって言えるゼッ!」
なんか夜空に叫んでるし…。まぁ、今は許してあげる。
「ずっと一緒だからな!翠ッ!」
今までだって、ずっと一緒だったじゃないの。これからもずっと…でしょ?恥ずかしくて言えないけどね。
浩司は、まだ夜空に向かってガッツポーズなんてしてる。そんなに嬉しいのかなぁ?私が遠回りさせちゃったんだよね?待たせちゃって、ごめんね…。
私はきっと“幼馴染み”って言葉で、自分を誤魔化していたんだと思う。そうじゃなきゃ、こんなに嬉しい筈がない。浩司の言葉が、こんなにも嬉しい筈がない…。
「ええ、浩司。ずっとずっと、一緒だから…!」
もう、離れることなんて出来ないかも知れない…。
これはまだ、これからの序奏に過ぎないけど、浩司とだったらうまくやっていける。時にはケンカするかも知れないけど、それさえも絶妙なスパイスに変えてみせる。
「ねぇ浩司、あの星は?」
「あの星はさぁ、翠…」
この後の話は、敢えて話さない。きっと、私が彼と結婚して、子供が生まれて…その子が私くらいの歳になったら話そうかな?って思うの。
そうね…、私は『不思議の国のアリス』の主人公になったんだよ…?ってね!
end...
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