1部分:第一章
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ミラノ公爵にまでなったのだ。その血は忠実に受け継がれていた。
最初の夫の叔父である教皇が亡くなった時は権勢と我が身を護る為にサン=タンジェロ城に篭城した。その夫が殺された時も彼女は逸話を残している。
自室で夫が殺されたのを聞いたカテリーナは何ら動じることはなかった。暗殺者達に捕虜にされてしまったがその直前に家臣を脱出させて援軍を呼ばしていた。そのうえで捕虜になったのである。
暗殺者達はカテリーナを捕虜にしたもののそれからどうするべきか手を打ちかねていた。カテリーナの家臣達が護る城を陥落させようとしたがその護りは思いの他堅固でどうにも進んでいなかったのである。
「それでは」
ここでカテリーナが出て来たのである。
「私が彼等を説得してきましょう」
「ほう」
暗殺者達はそれを聞きカテリーナに顔を向けてきた。
「貴女がですか」
「ええ。それが何か」
カテリーナは動じることなくその言葉に返した。
「そのまま逃げられるというのではないでしょうな」
「まさか」
カテリーナは彼等の猜疑の目も言葉も受け流して述べた。
「子供達がいるのにですか」
「確かに」
彼等はまずはそれを聞いた。
「それではどうぞ行かれよ」
「ただし戻られなかった場合には」
「わかっています」
カテリーナはそれに答えた。そして家臣達の説得に向かったのであった。
そのまま城から出される。その時彼女は不敵な笑みを浮かべていたという。
彼女は帰っては来なかった。家臣達と再会するとそのまま飲み食いしベッドに寝てしまったのである。
これに怒ったのが暗殺者達であった。憤懣やるかたなく子供達を連れて来て彼女のいる城の城門まで出て来たのである。
「出て来い!」
彼等は怒りに顔を歪めてこう叫んでいた。
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