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ローゼンリッター回想録 〜血塗られた薔薇と青春〜
第5章 沈黙の休日
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告いたします。
閣下の甥でいらっしゃる、マック・コービィ上等兵は宇宙歴791年 9月20日 戦死され、2階級特進し、伍長に任官されました。」
准将は、一瞬後ずさりをして
「嘘よ。嘘よ。
あの子が戦死するわけない。」
しばらくの沈黙の後
いきなり准将が
「お願い!嘘だといって。
あの子は生きてるって、言って!
シュナイダー中尉!」
するといきなり、右頬に衝撃
准将が私に平手打ちをしたのだ
すると准将は私の前で崩れるようにうずくまって
大声で泣き始めた。
表の警備兵が気の毒そうにこちらをうかがっているのが見えた。
そのまま10分近くたっていた気がする。
やがて、准将は起き上がって
「シュナイダー中尉。
とりあえず、上がって。
あの子の話を聞かせて頂戴。」
そして、准将の家に上がってマックの最期を看取ったメイリン衛生伍長からの話と彼の実戦で、訓練での活躍を話した。
准将は
「そう、あの子は必死に生きて義弟と妹の仇を取ろうとしていたのね。」
と言って、デスクの上に置いてあったエリー准将が中佐だった時とその隣に若い女性少尉が写った写真立てを手に取った。
「5年前の写真で、この右側の少尉が私の妹。
高射専科学校卒業して自力で幹部候補生養成所を卒業したての27歳の時。
当時私も戦艦の艦長として駆け出しの中佐で37歳だったわ。
彼女の夫は私の戦死した夫の元部下。
優秀で将来を期待されたスパルタニアンのパイロットだったわ。
まったくあのヘンシェル星域会戦がすべてを狂わせた。
彼女の夫は味方の艦艇の脱出のために敵を妨害している任務で、その最中に自分の飛行隊の離脱を援護しようとしたのよ。でも、燃料切れで速力が落ちていたところを敵の駆逐艦に撃たれたの。
私は味方の離脱部隊の殿を務めていたからそれを目の前で見たわ。
もう木端微塵。
助けられなかった。
そして、ヘンシェルの地上戦。
高射砲を対地攻撃砲にして彼女の小隊は戦っていたらしいけど最後のゼッフル粒子攻撃で大爆発を起こした陣地にいて、遺体すら見つからなかった。その代り見つかったのが彼女のヘルメットとこの写真。」
と言って見せてくださったのが、周囲が黒く焦げた家族写真だった。
「私たち夫婦には子供ができなかった。
だから、マックはどんなに甥っ子とはいっても会うたびにとてもかわいがっていたわ。
私の夫で第225空戦飛行団の司令官だったマーク・クリスチアン大佐はオリオン星系区での攻防戦で自分たちと10倍以上の帝国軍とスパルタニアンだけで戦ってケルン=テーベ3−3衛星の制宙・空権をめぐる空中戦で最後の1機まで戦って戦死したわ。
その足止めのおかげで、同盟軍はオリオンとヘンシェル両星域の同時2正面作戦を取らなくてすんだわ。
こうして、私はほとんどの親類そして愛
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