白髪鬼の脳内日記
[1/4]
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
&月×日 天気など知らん
侵入者が現れた。
その侵入者は、普通なら絶対に気付くことのない位置に隠していたはずの入口に気付き、何の躊躇いもなく入ってきたようだ。
それだけでもかなりの度胸があることはわかるが、それだけだ。所詮大した敵ではないのだろうと思い、芋虫型のモンスターを十体ほどと、強化種のミノタウロスを一匹向かわせておいた。
芋虫型には、ミノタウロスを襲わないように調教してあるので問題もないだろう。
侵入者は一人。たとえLv.5だとしても、芋虫型十体と強化種のミノタウロスには敵わない。武器を壊され、腐敗液にやられるか、強化種のミノタウロスにやられるだけだ。
Lv.6ともなれば話は変わってくるが、オラリオでも数少ないLv.6の第一級冒険者がこんなところにくるなど考えにくい。よって、大した問題ではないと思っていた。
だがしかし、現実は私の予想を遥かに上回った。
モンスターたちを放ってから二時間後。食人花の管理をしていた私のもとに、ボロボロのミノタウロスがやってきたのだ。
もしや、芋虫型の調教が足りずに、襲われたのだろうか?と思ったが、それならばこのミノタウロスが生きているはずがない。しかし、ミノタウロスの皮膚は、所々爛れ、煙を上げている。
まさかミノタウロスが芋虫型を襲ったのか?と一瞬呆気に取られるが、そんなはずがないと首を横に振る。ミノタウロス如きが勝てる相手ではないのだ。
それでも、現にミノタウロスはここにいて、芋虫型はいない。侵入者にやられたという可能性もあるが、それだと、このミノタウロスが生きていることに納得できない上、ミノタウロスに腐敗液が掛かっていることも説明できない。
ならば一体何が?と思考を働かせ始めた直後、ミノタウロスは前傾姿勢となり、こちらに突進してきた。
一瞬の驚愕の後、すぐさま思考を切り替え、向かってきたミノタウロスの首の骨を叩き折る。
灰となったミノタウロスを見て、思わず戦慄した。ミノタウロスに施されていたのは、『調教の上書き』。【ガネーシャ・ファミリア】レベルまでの調教ならば上書きは不可能ではないが、仮にもこのモンスターを調教したのは、自分と同じく、『彼女』の寵愛を受けたレヴィスだ。
となれば、『調教』というより『洗脳』といったほうが正しいかもしれない。
通常ならばいくら強化種とはいえ、ミノタウロスが芋虫型十匹に勝つなど不可能。しかし、『洗脳』することによって、ミノタウロスに暗示をかけ、芋虫型を倒させたのだろう。さしずめ、洗脳師といったところか。
バベルとは別にあるダンジョンの入口を見つけ、更にあの女の調教に上書きをすることが可能な人物。私が知る限りでは、そんな奴聞いたことも見たこともない。
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ