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ある提督の回顧録
1日目
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夕張は迂回しつつ挟撃の準備を。許可があるまで撃つな」
 

「了解です」

「了解!……ってああ!白雪ちゃんまってー」

 二人は速度を上げて回り込んでゆく。

「叢雲はできる限り敵の注意を二人から逸らしつつ敵を追い込んでくれ」

「了解」

 告げるや否や叢雲は敵へ急接近。

「いくわよ!」

 叢雲は背中の装備より伸ばした12.7cm連装砲を発射。
叢雲に気づいたイ級は進路を変え、回避行動に移った。

 徐々に水柱が敵の近くに着弾していく。
左右の砲撃を打ち分けることによって砲弾の散布界を収束し、砲撃の集中性をより上げているのだ。

「GYAAAAAA!!!」

 回避しきれないと踏んだのか、イ級も5inch単装砲で応戦してくる。
だが、叢雲の動きを捉えきれていない。

 イ級の対応はどうも中途半端だ。
攻撃にしろ回避にしろ一貫性がない……速度が速い事を鑑みるに新型だろうか?
実戦経験が少ないのかもしれない。


「無駄よ!」

 そして叢雲は相手が反撃に転じる一瞬の隙をついて反撃。

「GYIIIIIII!!!」


 着弾した。
しかし、まだ撃沈には至っていない。

「提督!予定位置へ回り込み完了しました!」

 夕張より連絡が入る。
頃合か、そう思ったとき。

 イ級は反転し速度を上げた。逃げるつもりだろう。
すかさず指示を出す。

「白雪、夕張!敵の足を止めろ!」

 二人に砲撃の許可を出す。

「り、了解!」

「待ってました!」

 14cm単装砲と12.7cm連装砲の集中砲撃にさらされ、敵の足が止まった。
その時。

「沈みなさい!」

 叢雲の12.7cm連装砲が相手を捕らえた。

「GIYAAAAAAぁぁぁぁぁ!!……」

 爆発の後、ゆっくりと敵は沈んでゆく。
今度こそ撃沈させたのだ。


「か、勝ったんでしょうか?」

 おそるおそる、といった感じで白雪はたずねる。

「当ったり前じゃない!さあ、帰るわよ!」

 と、叢雲。元気だな。あいつ。

「そうだな。よくやってくれた。
 周囲を警戒しつつ、帰投してくれ」

 そう声をかけた後、私は気が抜けたように一人へたりこんだ。 













「司令官?入るわよ?」

 執務室に叢雲が帰ってきた。

「作戦完了ね。艦隊が帰投したわ」

「全員無事だな?……二人の姿が見えないが?」

「あの子達はかなり疲れていたようだから先に部屋へ帰らせたわ」

 兵器が、疲れる……?
まあ建造して直ぐに戦場に借り出したのはちょっとかわいそうでもあったが。

「そうか。ところで
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