番外編:十年後
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トルが大真面目な顔で言い切る。
この男は娘に近寄る虫はすべて排除する気である。
恐らくはフェイトが結婚できるようになるのはまだまだ先になるだろう。
そんなことをなのはが考えている時にあることを思い出す。
「そう言えば、この前買い物をしている時にナンパされたんだけど……どうしようか悩んでちょっと目を離したすきに麻酔弾で撃たれてたの」
いかにも不自然な出来事を思い出して犯人と思われるルドガーの方に目を向けるとサッと目を逸らされる。
完全に黒の反応である。確かに自分も困っていたがいくら何でもやりすぎだと思ったなのははルドガーに文句を言う。
「もう、ルドガーさん何を考えているの!?」
「いや、恭也と士郎さんと話し合った結果、半端な男がなのはに近づくようなら始ま―――遠ざける様に決めたんだ」
「今、始末って言おうとしたよね!? それとお父さんとお兄ちゃんもなにしているの!」
衝撃の事実に完全に混乱しながらもなんとかツッコミを入れるなのはだが、我が家の男性陣の過保護っぷりに頭を抱えて転がりたい気分だ。
そんななのはの様子を見てフェイトも思い当たる節があるのか手を口に添えて以前あった出来事を思い出す。
そう、あれは自分も同じようにナンパをされた後だった。
「ナンパをしてきた人が消えた方に母さんの雷が見えたことがある……」
あの時は気のせいだろうと思って気にも留めなかったが今思えば随分と過保護になったプレシアの仕業だったのだろう。
「そう言えば、アリシア姉さんも同じようなことがあったって言ってたような……」
少しジト目でヴィクトルの方を見てみるがこちらは動じるどころか開き直った態度で腕を組んでいる。
その姿は素直にカッコイイのだがやってることがやってることなのでどうにもため息が出てしまう。
「親として当然の責務を果たしたまでだ」
「心配してくれるのは嬉しいけど流石にやりすぎだよ、父さん」
「人生、時には泥を被る必要がある」
「それっぽく言ってもダメだからね」
こんな性格だったかなと深い溜息を吐きながらフェイトはなのはと顔を見合わせて目で想いを伝え合う。
―――私達、ちゃんと結婚できるのかな?
六課の夜は年頃の乙女の溜息と共に更けていくのだった。
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